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2011年11月 月次レポート(小久保真理江 イタリア)

11月ITP報告書

小久保真理江

 今月も先月に引き続き博士論文の第一章第二節の執筆に取り組みました。この節ではパヴェーゼとアメリカ文化の関係についての先行研究の展開(主な傾向や重要な論点)を分析的にまとめた上で、自らの視点や研究の目的を複数の点に渡って明示しました。このテーマについては1940年代から現在まで多くの重要な先行研究が存在します。執筆に際しては、これまで個別に読んでいた文献を年代順にまとめて再読することにより、批評の流れや時代背景との関連を理解するとともに、自らの博士論文に独自性と説得力を持たせるための方法もより明確に認識することができました。この原稿については現在ネイティブチェックを依頼中であり、修整が終わり次第こちらの指導教員にも提出して意見をいただく予定です。
 月初めには指導教員と面会し、先月に執筆を終了した原稿(博士論文の第一章第一節)についてコメントをいただきました。以前に批判を受けた点に十分注意しながら原稿を執筆した結果、今回は同様の大きな問題を指摘されることはなく、論文の書き方に関して進歩が認められたほか、内容の独自性についても良い評価をいただけ大変励まされました。議論を深めるための助言としては、パヴェーゼの映画への関心と人類学?民族学への関心とのつながりについて示唆をいただきました。
 月半ばには博士課程の学年末報告会が開かれました。今回の報告会では最終学年への進級や2012年の論文提出の可否が決定されることになっており、論文の見通しや提出?審査の必要手続きついて正確に把握する必要があったため、事前に日本?イタリア両方の指導教員や関係者と綿密な話し合いを行いました。 学年末報告会では、無事に最終学年への進級と論文提出の許可が下り、2012年6月に論文を提出することが決定されました。
 共同学位授与制度の歴史が浅いためボローニャ大学の先生方の間で制度に関する共通理解が十分には浸透しておらず、論文提出や口頭審査の手続きについて最初は混乱がありましたが、協定書を持参してよく話し合った結果、諸々の誤解は解け必要手続きについても事務の方に正式な確認をとることができました。また、今月17日には東京外国語大学側の指導教員がボローニャに来て下さったことにより、こちらの指導教員や大学院の責任者と全員で博士論文の提出?審査について直接話し合うことができました。これまで関係者一人一人との個別の話し合いでは重要な点がなかなか明確にならなかったのですが、この機に日本の指導教員を含めて全員で話し合うことにより、全てが明確になり、博士論文の審査員や審査日程等の詳細まで決定されたので、非常に助かりました。また今回の経験からは、イタリアで物事を円滑に進めるためのコミュニケーション方法についても多くを学びました。
 最後に、今月はパゾリーニに関する研究書(L'esperienza friulana di Pasolini)の出版記念会にも出席しました。過去に同じ教授の指導のもとボローニャ大学イタリア文学科の博士課程を修了された土肥秀行さんが博士論文をもとに執筆された研究書であり、こうした先輩の姿を見ることが良い刺激になったのはもちろんのこと、イタリア語での論文執筆に関する経験談や助言にも大変励まされました。

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