地域基礎I履修案内
フィリピン研究入門、木3限、小川英文
授業の目標:この授業では、フィリピンと関係をもち、フィリピンについて考え、フィリピンの問題を自分なりに論じることができるように、1年生で学ぶべき基礎的な事項を身につけ、2年生以降のフィリピンに対する取り組み方の基本的姿勢を形成することを目標とする。実際には、自分で問題を設定し、自分で調べ、自分でまとめて、文章で表現することを身につけることを目標とする。
授業は、以下のような疑問を解消しながら進んで行こうと考えています。
1.フィリピンと自分との関わりを、どのような問題について設定し、その問題についての疑問や関心をどのように膨らませるか。
2.そしてそれらの疑問や関心について、いったいどのように情報や文献を集めればよいのか。
3.さらに集めた情報や文献を自分なりにまとめるためには、それらの情報や文献をどのように読み、問題をさらに掘下げたり、広がりをもたせていくのか。
4.そして最終的にそれらの情報を自分なりにまとめて、レポートや論文のかたちに書いて表現し、主張すればいいのか。
論文作製のための問題の整理のしかたから文章の書き方、そして各人のテーマに則した文献の探し方、問題への視角の設定、分析方法の設定、さらに目次の立て方、実際の執筆までのアドバイスを行います。
世間の風評に惑わされず、常識の犠牲者にならないように、自分で情報を集めて、自分で判断でき、ちゃんと自分の主張がある文章を書けるためにはどうしたらいいか?これは小川自身の問題でもあります。文章の書き方の本を読みながら、わたしの経験を交えながら、みなさんと考えて行きたいと思います。
授業のスケジュール:以下、おおまかな授業スケジュールを述べます。
4月〜7月までは、フィリピンの問題について論じた文献や、テーマの選び方、問題の設定のしかたや文章の書き方についての本を紹介したり、現在フィリピンについてどのような研究分野があるかなどについて講義します。毎回の授業の冒頭では論文作製のためのワークブックを教材に使います。ただしワークブックは、授業では、簡単にわたしが説明するだけで、自宅で自学自習してきてください。毎回、授業の始めにワークブックの練習問題を宿題としてやってきたか調べます。このタスクの達成度は直接成績に反映します。
つぎに図書館での本の探し方、インターネットでの文献検索方法や情報の集め方について実際に体験しながら講義します。AV実習室のコンピュータを使いながら情報の集め方について講義します。
この間にみなさんは、それぞれのフィリピンについての関心や疑問を研究テーマとして設定します。そして自分でその問題について論じている参考文献を集め、そのリストを作っていきます。
つぎに、わたしが与えた論文の購読やテーマについて調べ、発表してもらいます。その際、みなさんを5つのワーキンググループに分け、グループは互いに競い合って、購読と発表を行い、その成績によってグループの再編を行います。読んできてもらう論文はフィリピンに関するもの、現在の学問の方向性を決定づけているグランドセオリーや新しいテーマについてのものを、わたしが選んできます。具体的には、世界システム、ジェンダー、ナショナリズムなどです。夏休みまではこのようにして、研究の基本的な姿勢と技術について、みなさんの体験を通じて講義します。
夏休み前の授業では2週にわたって、夏休み中に書くレポートのテーマとその研究の内容について、ひとりづつ発表してもらいます(ひとり約15分)。それぞれのテーマと分析の方法、そしてデータ収集の方法と文献目録、さらにレポートの構成(目次)について発表してください。このレポートは夏休み明けに提出してもらい、成績の良いものを授業中に公表します。
10月〜12月にも前期と同様に、与えられた論文とテーマについて、グループごとに購読と発表をこなし、冬休み中にレポートを課します。
1月〜2月には、2年生以降のより具体的な研究テーマの設定(3年以降のコース選択を視野に入れた)を各人が行い、各自発表してもらい、それについて全体で討議します。そのテーマを春休み中にレポートにまとめ、2年生になってからの研究課題とし、3年生以降、卒論へと繋がるように発展させる。
成績評価のしかた:購読、発表、ワークブックのタスク消化、2回のレポート、発表に対する質疑応答や討議での積極度によって総合的に、A〜Dまでの評価を下します。
みなさんへ望むこと:1年間、かなりきつい授業ですが、みなさんの大学での生活のあり方を決定づける授業ですので、元気に、積極的に取り組んでください。
文章を書くためのテキスト:
『留学生・大学生のための論文ワークブック』くろしお出版
フィリピンを学ぶための参考文献:基本的なもののみ
上智大学アジア文化研究所編
1999『新版 入門東南アジア研究』
宮本・寺田編
1994『アジア読本 フィリピン』
これらの文献の巻末には、フィリピンの分野別の参考文献リストがあります。
これまでの授業経過の一例990506:
各自のテーマにそって、文献目録を作成した。提出してもらった。
論文ワークブック3回目配る→次回提出。2回目の回答を回収したが、1回目を返すの忘れた。
各自のテーマと文献を提出してもらった。
大宮さん:フィリピンの民話:文学的世界観、民話の本:文学的世界からなにを抽出して 描き出そうとするのか?
畠山さん:フィリピンの音楽:民族音楽、ポップス、大衆文化、消費文化としての視点
異種の音楽が混交する状況から、文化の現在を描く→国民文化、民族音楽
辻村:フィリピン人の空間認識:住まいの人類学、空間の人類学:佐藤浩治の本
中川ちゃんのところに行く→フィリピンの、東南アジアの空間認知
谷島:フィリピンの精神:
小川:フィリピン映画:大衆文化、消費文化の視点
フィリピン人は映画からなにを得ようとしているのか?消費文化、大衆文化の現状を描くことから、フィリピン人の現状認識や将来の夢とはなにかを描く
堀口:フィリピンの現代美術:ポップアート、ポップカルチャー、文化的なパワーの源泉 はどこにあるか?フィリピン現代美術の源泉→影響関係→作家論→大衆文化との関係
南波:農業:農業をどのようにとらえるか?貧困からの離陸としてとらえるのか?
これはたくさん本がある→フィリピン農業をマクロ、ミクロのどちらで描くか?
井手:女性:ジェンダーの論点をさぐる、家族、世帯の中の女性の視点、女性をとりまく 問題の整理、
原田:女性の出稼ぎ労働:国際労働力移動と家族、ジェンダー
里崎:ストリートチルドレン:なぜ置き去りにされるのか?
市川:貧困:マクロか、ミクロか?ストリートチルドレン
岩田:貧困:原因の解明か、対策の提示?都市の貧困
石川:貿易:政策の歴史か?離陸か?
森:バナナとエビとココヤシ→鶴見良行
大衆文化、ジェンダー、貧困、産業、国際労働力移動、経済的幸福の追求、伝統的世界観次回までに、このテーマをどのように論文へと構想して行くかを考えてくる。これを提出してもらう。
講義内容を毎週レジュメつくって配布する
フィリピンについてのさまざまな問題点と研究課題について→現在どんな研究がなされているのか?
各人のテーマにしたがって自学するための方法
990513:
フィリピン百科のプリント配布して、講義する。各人のテーマへのアドバイス。ワークブック4回目の配布。フィリピン百科読み始める。各人別のアドバイスはまだ。
990520
ボートで休み。
990527
インターネット講義、webcatとブックポータル、ホットメール
各人のテーマについて個別指導
990610
フィリピン百科つづき
991007
レポート全滅、誰も出していない。
15分テスト:「フィリピン独立革命の経緯について述べよ」 8人受験
テスト結果(秘密)
991014
テスト問題:「フィリピンの言語状況について歴史的に述べよ」
レポート提出
1.南波提出『フィリピンの農業』
2.矢島『民族音楽』
3.森『バナナ産業をつうじたフィリピンと日本との関係』
4.岩田『フィリピンの都市の貧困』
5.石川『フィリピンのナショナリズム』
6.市川『先進国と途上国のかかわり』
7.辻村『アジアの中のフィリピンの住まい』
フィリピン百科を読む
来週から清水さんの論文よむ→40部コピーしてもらう(堀口、南波、小川)→来週から読みはじめ
991021
テスト問題:「スペイン統治の歴史とその特徴について述べよ」
清水論文:論文はどのように読むか?
991028
テスト:
フィリピンの自然環境について述べよ
池端先生の論文配布する。
これまでのテストの問題を自分なりに調べて提出する。
今後のテスト問題:「バランガイ組織について歴史的に述べよ」
「アメリカ統治時代について述べよ」
「フィリピン独立の経緯を歴史的に述べよ」
「フィリピン文学史について述べよ」
2000年4月20日
各自の関心について提出してもらう。「わたしにフィリピン研究」パワーポイントで講義
教育
田中:教育
片山:教育と歴史
岩崎:フィリピンの子供たちと教育
貧困
大和:貧困層と富裕層
森林:貧困
河合:貧困
経済と社会
末廣:フィリピン社会とストリートチルドレン
磯野:フィリピンと日本の経済的関係、その背後の環境問題、フィリピンの環境についての法律
赤羽:出稼ぎ
環境
里崎:環境問題
星野:ふぃりぴんの地理と気候
松下:地理・自然
民族文化
逆井:民族衣装
大野:民族ごとの文化の違い
藤井:料理、少数民族の料理
その他
谷川:日本占領期と食人行為、ピナトゥボアエタの食の変化
次回からショートテスト、わたしの…続き