イタリア料理の誕生
- 刊行
- 著者等
- キャロル?ヘルストスキー著、小田原琳?秦泉寺友紀?山手昌樹訳
- 出版社
- 人文書院
内容の紹介
イタリア料理は「政治」と「空腹」がつくった? アメリカへ渡った移民の存在と二つの大戦、そして戦後の消費文化が食に及ぼした影響を辿ることで、「イタリア料理」成立の歴史が見えてくる。多様な史料をもとに複雑な食糧政策と庶民の反応を鮮やかに描く、食のイタリア現代史。
訳者のコメント
小田原琳(大学院総合国際学研究院/准教授)
イタリアに関心をもたれる方の多く は、イタリア料理もお好きだと思います。ですが、現在の「イタリ ア料理」がある種の「創造された伝統」であることは、あまり知ら れていないかもしれません。おいしく楽しむことから一歩踏み込ん で知りたい方にお勧めしたい本です。本学で非常勤講師をお務めく ださっている秦泉寺友紀先生?山手昌樹先生と共訳しました。
秦泉寺友紀(本学非常勤講師)
本書の大きな特徴は、政治 の役割や国の介入に焦点を当てて、イタリアの食を描き出した ことにあります。豊かなはずの近年の日本でも、コロナ禍による失 業や収入減で明日食べ るものがないといった深刻な食糧危機が多くの人を襲いました。食 べ物をいかに人々に行 き渡らせるか、飢えさせないかは、すぐれて政治的な問題でもある のです。
山手昌樹(本学非常勤講師)
ロシアのウクライナ侵略により、両国民のみならず、 世界規模の食糧危機が懸念されていますが、本書はまさに戦争が「 イタリア料理」の誕生に大きく関わっていたことを論じています。 とりわけ二つの世界大戦がイタリア国民の食生活に真逆の結果をも たらした点を膨大な史資料を用いて克明に叙述した本書からは戦争 と食との一筋縄ではいかない関係を知ることができます。