2022年度9月卒業式?学位記授与式挙行
2022.09.22
2022年9月22日(木)、2022(令和4)年度9月卒業式?学位記授与式を挙行し、学部学生32名(言語文化学部15名、国際社会学部17名)、大学院総合国際学研究科博士前期課程19名、博士後期課程6名の計57名に卒業証書?学位記を授与しました。
式では、林佳世子学長から学位記が手渡され、学長式辞に続き、真島一郎学部長、鈴木義一大学院総合国際学研究科長から祝辞が述べられました。
学長式辞
みなさん、ご卒業おめでとうございます。コロナ感染症の拡大も落ち着き、こうして一同に会して皆さんのご卒業を祝うことができ、大変うれしく思います。
まず、最初に学部を卒業される32名の方にお祝いを述べさせていただきます。思い返せば、2020年の春先からはじまった感染症の拡大は、多くは3年生だった皆さんの学業や生活を直撃しました。留学の予定が狂った方も多いと思います。皆さんにとって、4年半、あるいは5年半の大学生活の半分がコロナに覆われたことを思うと、複雑な思いです。大学として、皆さんを十分にケアすることができただろうかと自問もしています。
ただ、今日、皆さんの明るい様子を拝見すると、皆さんがそれぞれ工夫をして、困難を乗り越えて、今日を迎えられたことが、よくわかります。対面であれ、オンラインであれ、先生方や友達と、有意義な議論をし、アドバイスを受け、卒業論文をまとめられたものと思いますし、次の進路に向けて、いろいろな選択をした結果、9月卒業という方策を選ばれたのだと思います。皆さんにとって、これからの人生が幸多きものであることを、心から記念しています。
皆さんもご存かと思いますが、本学は来年、建学150周年を迎えます。150年、というのはなかなかすごくて、明治維新から今年で154年ですから、明治とともに、つまり日本の近代化とともに、本学が産声を上げたことがわかります。この150年の間、本学は、言葉や文化理解を通じ、日本を世界に結び付け、日本の近代化のため、或いは、日本の戦後復興や日本の経済の発展のため、重要な役割を果たし続けてきました。しかし、21世紀も4分の一が過ぎようとする現在、私たちの大学が、あるいは、私たちの大学を卒業する皆さんが果たすべき役割は、これまでとは変わってきているように思います。少し無理のある言い方かもしれませんが、私は、私たちの大学は、今、「自分が生きる社会のため」にあるのではないか、と考えています。
「自分が生きる社会」とは、小さな自分の周辺もそうですし、広く、地球社会全体も含みます。大事なことは、自分たち、一人ひとりが「自分自身」を大切にすることです。そして、自分とおなじように、身近な周囲の人々や遠い世界の人々が、居心地よく、幸せに暮らせるよう力を貸す、そうした連鎖をつくりだしていくことが、私たちの大学は使命なのではないか、と思います。それは、共助、ともに助けあう世界、ともいえるでしょう。言葉が通じてわかりあえる、というのは、共助の第一歩です。
でも、人を助けるには、自身の実力も必要です。知識や技術もそうですし、相手の立場になって考える力、そういう力です。皆さんが、本学で学びは、そうした力を皆さんにつけました。今はまだ実感できないかもしれませんが、社会にでたら、きっと、自分の中にある、確かなものに気が付いていただけると思います。
自分が生きる社会をよくしていく力をもった皆さんが、これから社会にでて十分に活躍していかれる姿が、目に浮かびます。どうか、自分に自信をもって、これからの人生を、幸せに、そして回りを幸せにする道を歩んでください。大学は、皆さんのこれからをずっとずっと応援しています。
次に、大学院を修了された25名の皆さんにお祝いを申し上げたいと思います。特に、博士課程を終えられた6名の方は、今読みあげられた論文タイトルからわかるように、長い研さんの結果、言語学、文学、地域研究など、人文社会の諸分野に貢献されました。ほんとうにご苦労さまでした。
皆さんが修士論文、博士論文で追及された問いは、自分だけのものと思われるかもしれませんが、たぶん、そうではありません。実は、社会が問いかけている問いだと思います。だからこそ、皆さんが見出した答えを、ぜひ、社会と共有し、社会に役立てていっていただきたいと思います。おひとりおひとりの、ますますの活躍を祈っています。
Now, I'd like to congratulate all of you who have finished successfully our Master course of the Peace and Conflict Studies.
It is perfectly understandable that it is extremely difficult to take a degree just within a few years far away from your home country.
Especially, because of the prolonged pandemic, you have had much more difficulties in completing the thesis, as well as in your ordinary life, than before the pandemic began.
Today, I am very glad to see you all looking healthy, happy and satisfied. Hopefully, the study you have made at our university will give you a steady basis for your further development. The world is waiting for your contributions, because, as you know, the world today is facing more and more conflicts.
Lastly, I also hope that the ties between you and TUFS will continue no matter where you will be. We will not forget you and I hope you will not forget us! Thank you very much and congratulations!
2022年9月22日
東京外国語大学長 林佳世子