日英通訳?翻訳実践プログラムの大学院生が学部生との合同授業で同時通訳を実践
2025.07.17
2025年7月3日(木)の3限目に、大学院日英通訳?翻訳実践プログラムの大学院生が、「通訳基礎II」クラスを受講する学部生との合同授業で同時通訳実習を行いました。今回は、機材の修理?整備を行い改修が完了した研究講義棟の101教室の同時通訳ブースを初めて使用し、学部生による日本語でのプレゼンテーションを大学院生が英語に同時通訳を行いました。参加した学生の中から、大学院生、学部生それぞれ代表の1名のレポートを紹介します。
大学院日英通訳?翻訳実践プログラム博士前期課程2年 前橋慧河さん
今回の実習では、学部生の皆様の環境問題に関するプレゼンテーションの日英同時通訳を行いました。101教室の同時通訳ブースを使用したことで、実務により近い環境での実習を行う事ができました。また、発表者との連絡も自ら行い、通訳依頼を受けてから当日を迎えるまでの一連の流れも経験する事ができました。
学部生の方々との顔合わせを約1ヶ月前に行い、事前に発表資料を共有していただき、準備を進めました。プレゼンの中で取り上げられていた具体的な事例は知らないものも多かったため、リサーチを通して背景知識を固め、スムーズに訳出が行えるよう努めました。
当日は、通訳パートナーと2人でブースに入り、数字や固有名詞の取りこぼしがないようメモ出しをするなど協力して同時通訳を行いました。特にスライドのどの部分について話しているのか、指差してもらうことが大変助けとなり、安心して通訳を行うことができました。
ただ、今後の課題として、プレゼンの構成が変更された部分への柔軟な対応や、必要な情報の取捨選択にはまだまだ改善の余地があると感じます。準備ではカバーしきれない不測の事態が起こることも、実務では頻繁にあると考えられます。そうした中でも、何を一番伝えたいのかを見極めて必要な情報を出すことがプロの通訳者として求められると実感しました。
今後は、今回の課題を踏まえ、どんな状況でも聞きやすい通訳ができるように練習していこうと思います。
言語文化学部3年 脇山すみれさん
まず、同時通訳機材を用いて本格的にプレゼンテーションを聞くという体験自体が初めてだったため、大学院生の方による通訳にとても驚かされました。発音の流暢さ、明瞭さ、そして聞き取りやすさのすべてにおいて非常に高いレベルで、言い淀むこともなくスムーズに通訳されている姿は、すでにプロの通訳者として活躍されていても不思議ではないほどでした。
私はスピーカーの日本語と同時通訳された英語の両方を聞いていましたが、どちらにも違和感がなく、自然に耳に入ってきました。それぞれの発表者によって異なる話すスピードや間の取り方にも柔軟に対応し、内容が的確に訳されているだけでなく、発表者の言い間違いまでさりげなく修正されていた場面もあり、その精度の高さに感心しました。
特に興味深かったのは、発表直前の打ち合わせの場面です。発表者が時間の関係で原稿を一部カットし、内容を少し変更すると伝えた時、通訳者の方はその変更点を丁寧に聞き取り、即座にメモを取って対応していました。そこから通訳までにほとんど時間がなかったにもかかわらず、実際の通訳は完璧で、事前準備の徹底とその場での臨機応変な対応力の高さに感銘を受けました。
また、固有名詞の訳出に関しても、スピーカーの希望を丁寧に聞き取り、通訳者自身が事前に考えてきた訳語とすり合わせるなど、まるで実際の現場のようなやり取りが行われていました。普段の授業でも、通訳者は様々な話し方や発音、アクセントのあるスピーカーに合わせることが求められると聞いていましたが、今回の体験を通じて、それが実践されている場面を目の当たりにできました。





