久米 順子 (KUME Junko)
氏名 / Name | 久米 順子 (KUME Junko) |
---|---|
所属職名 / Affiliation | 大学院総合国際学研究院/准教授 Institute of Global Studies/Associate Professor |
電子メール / Email | kumejun@tufs.ac.jp |
ウェブページ / Website | |
学位 / Degree |
|
研究分野(e-Rad分野) / Research Field(s) (by e-Rad) |
|
研究キーワード / Research Keywords |
|
自己紹介 / Biography
イベリア半島の中世美術について勉強しています、と自己紹介すると、
「スペインの古い絵…というとエル?グレコあたり?」と聞かれることがあります。
いいえ、エル?グレコより500年くらい前、まだスペインという国もスペイン語と呼ばれる言葉もなかった時代の作品です。
「何でそんな誰も知らないような昔のものを研究しているの?」
うーん、どうしてでしょうね。
こう聞かれると、とりあえず運命とか巡り合わせとかいった便利な言葉でお茶を濁すことがほとんどです。惚れた相手が悪かったので、と言うときもあります。成り行きで、とも言えます。
「美術史って絵を描くのとは違うんでしょう? いったい何やってるの? そんな研究が何の役に立つの?」
うーむむむ…。
美術史は新たに美術を制作するものではなく、基本的にはすでに誰かによって作られた作品についての研究を行います。作品そのものに限らず、制作者、注文者、受容者、作品が流通する社会全体も対象となります。歴史学や美学?哲学はもとより、文学理論、ジェンダーなどの社会理論、経済学、心理学や精神分析学、人類学や考古学といった様々な学問領域との親和性が比較的高いため、研究方法も多岐にわたり得ます。
しかしいくら対象や方法が広範に及ぼうとも、美術史研究そのものが社会の犯罪率を下げたり二酸化炭素排出量を減らしたりする訳はなく、目に見える分かりやすい有用性や即効性はありません。芸術そのもののように人の心に訴えかける力も弱いかもしれません。それでも、美術史は過去や遠く離れた場所で生み出された芸術を「生きたもの」として今日の世界に伝えるために必要な学問ではないかと考えています。
言うは易し、行うは難しですが、名も知れぬ人の作った作品が人生を支えてくれることもあります。そうした出会いが皆さんにも訪れるように、今日もせっせとスライド作りに励んでいます。
「スペインの古い絵…というとエル?グレコあたり?」と聞かれることがあります。
いいえ、エル?グレコより500年くらい前、まだスペインという国もスペイン語と呼ばれる言葉もなかった時代の作品です。
「何でそんな誰も知らないような昔のものを研究しているの?」
うーん、どうしてでしょうね。
こう聞かれると、とりあえず運命とか巡り合わせとかいった便利な言葉でお茶を濁すことがほとんどです。惚れた相手が悪かったので、と言うときもあります。成り行きで、とも言えます。
「美術史って絵を描くのとは違うんでしょう? いったい何やってるの? そんな研究が何の役に立つの?」
うーむむむ…。
美術史は新たに美術を制作するものではなく、基本的にはすでに誰かによって作られた作品についての研究を行います。作品そのものに限らず、制作者、注文者、受容者、作品が流通する社会全体も対象となります。歴史学や美学?哲学はもとより、文学理論、ジェンダーなどの社会理論、経済学、心理学や精神分析学、人類学や考古学といった様々な学問領域との親和性が比較的高いため、研究方法も多岐にわたり得ます。
しかしいくら対象や方法が広範に及ぼうとも、美術史研究そのものが社会の犯罪率を下げたり二酸化炭素排出量を減らしたりする訳はなく、目に見える分かりやすい有用性や即効性はありません。芸術そのもののように人の心に訴えかける力も弱いかもしれません。それでも、美術史は過去や遠く離れた場所で生み出された芸術を「生きたもの」として今日の世界に伝えるために必要な学問ではないかと考えています。
言うは易し、行うは難しですが、名も知れぬ人の作った作品が人生を支えてくれることもあります。そうした出会いが皆さんにも訪れるように、今日もせっせとスライド作りに励んでいます。
学歴 / Academic Achievement
-
2006年06月 マドリード?コンプルテンセ大学大学院地理歴史学部中世美術史科 その他2006.06 Universidad Complutense de Madrid Facultad de Geografía e Historia Other
-
2008年03月 早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)専攻 単位取得満期退学2008.03 Waseda University Graduate School, Division of Letters Accomplished credits for doctoral program
最近5年間の研究 /
Recent Research Projects (in the last five years)
-
中世イベリア世界の多文化共生再考:アルフォンソ10世賢王時代に関する学際的研究Revisiting “Convivencia” in the Medieval Iberian World: Interdisciplinary Research on Alfonso X the Learned’s Era
-
中世イベリア半島のキリスト教美術とその集合的記憶:マイノリティの役割の(再) 評価Christian Art in the Medieval Iberian Peninsula and its collective memories: (re) evaluating the role of Muslim and Jewish Minorities
所属学会 / Affiliated Academic Societies
-
スペイン?ラテンアメリカ美術史研究会
-
美術史学会
-
早稲田大学美術史学会
-
地中海学会
-
西洋中世学会
受賞 / Awards
-
第25回立教大学辻荘一?三浦アンナ記念学術奨励金 (2013年02月)Tsuji-Miura Commemorative Award for Christian Art and Music Studies (2013.02)
-
第13回鹿島美術財団財団賞 (2006年05月)Kajima Foundation for the Arts Award (2006.05)
主要研究業績 / Main Research Publications
論文 / Papers
-
西ゴート, スペイン?ポルトガル史研究入門, 2024年
-
19世紀スペインにおけるレオン大聖堂:「大修復」工事をめぐって, 東京外国語大学論集, 107巻, 21-41, 2024年The Cathedral of Leon in 19th Century Spain: A Major Restoration Project, Area and culture studies. Tokyo University of Foreign Studies, 107, 21-41, 2024
-
Medieval European Art History in Japan, Imago Temporis: Medium Aevum, 17, 61-77, 2023
-
フロセル?サバテ『アラゴン連合王国の歴史 中世後期ヨーロッパの一政治モデル』(翻訳他), アラゴン連合王国の歴史 中世後期ヨーロッパの一政治モデル, 2022年The Crown of Aragon: A Political Model in Late Medieval Europe2022
-
マリア?J?フェリシアノ「中世アンダルス美術の遺産 その存在と不在を読み解く」(論文共訳), 帝国スペイン 交通する美術, 65-94, 2022年
-
「キリストの戦士」としてのサンティアゴ?マタモロスと拡大するイスパニア世界, 帝国スペイン 交通する美術, 95-134, 2022年The Iconography of Santiago Matamoros as Miles Christi and the Expanding Hispanic World, Art in Spanish Empire: Circulations and Transformations, 95-134, 2022
-
慶應義塾図書館所蔵アルフォンソ10世関連写本ファクシミリ版二作品解説―『聖母マリアの古謡集』および『チェス、さいころ、盤上ゲームの書』―, 言語?文化?コミュニケーション(慶應義塾大学日吉紀要), 54巻, 75-96, 2022年
-
?Feminismo o eugenesia? Debates en torno al aborto en el Japon de postguerra, Historia de las mujeres. Voces interdisciplinarias, 49-63, 2021
-
ホセ?レブレロ?スタルス「牧神と精霊を躍らせる画家」(エッセイ翻訳), 地中海人ピカソ — 神話的世界に遊ぶ, 24-31, 2021年
-
アリシア?ミゲレス「ベアトゥス写本研究の現在:近年の研究成果に照らして」(論文翻訳), スペイン?ラテンアメリカ美術史研究, 20号, 29-41, 2019年Los Beatos: estado de la cuestión a la luz de los datos aportados en las últimas décadas(20), 29-41, 2019
-
Donde viven los monstruos. Miradas desde el rincón: Representaciones zoomórficas en la escultura románica, Els animals a l’Edat Mitjana, 37-60, 2018年
-
伊藤喜彦著『スペイン初期中世建築史論―十世紀レオン王国の建築とモサラベ神話―』(書評), 建築史学, 70巻, 106-114, 2018年
-
Dos códices ildefonsianos en el Toledo recién conquistado: en torno a la difusión del De virginitate iluminado dentro y fuera de la Península Ibérica, Medieval Europe in Motion: la circulación de manuscritos iluminados en la Península Ibérica, 87-95, 2018年
-
El ‘Arte mudéjar’ en la historia del arte espa?ol: en busca de una identidad, Imaginarios en conflicto: Lo espa?ol en los siglos XIX y XX, 345-355, 2017年
-
ロマネスク壁画の収集?保全とカタルーニャ美術館, バルセロナ――カタルーニャ文化の再生と展開, 161-181, 2017年Conservation and collection of the Romanesque mural paintings in the National Museum of Art of Catalonia, Barcelona, 161-181, 2017
-
中南米の西洋中世学(研究動向), 西洋中世研究, 8巻, 229-242, 2016年European Medieval Studies in Latin America, Medieval European Studies, 8, 229-242, 2016
-
「西ゴート王国(1)アリウス派時代」「西ゴート王国(2)カトリック時代」 , スペインの歴史を知るための50章, 33-44, 2016年
-
Escribanos e iluminadores de la frontera cristiana hispana entre los siglos X y XI: la costumbre del retrato, El mundo de los conquistadores, 839-859, 2015年Scribes and illuminators of the Hispanic Christian frontier between the 10th and 11th centuries: the habit of portraiture, El mundo de los conquistadores, 839-859, 2015
-
「第24章ミロ」「第25章ダリ」「コラム11ピカソ美術館とバルセローナ現代美術館」「第26章カタルーニャ美術館とロマネスク芸術」「世界遺産6バイ?ダ?ボイ(ボイ谷)のカタルーニャ?ロマネスク様式教会群」「世界遺産7プブレット修道院」, カタルーニャを知るための50章, 2013年
-
レオン王国への聖イシドルス聖遺物奉遷(1063年)再考, 総合文化研究, 16巻, 44-56, 2012年The Relics of St. Isidore of Seville in the Kingdom of Leon: Reconsidering the Translation of 1063, Trans-Cultural Studies, 16, 44-56, 2012
-
宮廷と修道院の間で――レオン王国の王女たちによる美術パトロネージと初期スペイン?ロマネスク, 西洋美術研究, 1巻15号, 64-83, 2009年Between the Court and the Monastery: Artistic Patronage of the Infantas of León and Early Romanesque in Spain, Studies in Western Art, 1(15), 64-83, 2009
-
レオン王国サンチャ王妃の『語源論』写本(一〇四七年)に関する一考察, 美術史, 163巻, 16-37, 2007年Las Etimologías de do?a Sancha de León (a?o 1047), Bijutsushi. Journal of the Japan Art History Society, 163, 16-37, 2007
書籍等出版物 / Books and Other Publications
-
Beyond the Seas: A Medievalists Meeting in Tokyo (Allende los mares: un encuentro de medievalistas en Tokio/ 海を越えて:西洋中世学論集), Tokyo University of Foreign Studies-Institute for Global Area Studies, 学術書, 編集, 2019年
-
スペイン美術史入門──積層する美と歴史の物語, NHK出版, 一般書?啓蒙書, 共著, 2018年Introduction to Spanish Art History, General book, introductory book for general audience, Joint author, 2018
-
11世紀イベリア半島の装飾写本―“モサラベ美術”からロマネスク美術へ―, 中央公論美術出版, 学術書, 単著, 2012年La transición del "mozárabe" al románico en los manuscritos iluminados hispánicos del siglo XI, Scholarly book, Sole author, 2012
MISC / MISC
-
国立西洋美術館所蔵 内藤コレクション 写本カタログレゾネ(写本解説翻訳), 国立西洋美術館所蔵 内藤コレクション 写本カタログレゾネ, 国立西洋美術館, 記事?総説?解説?論説等(その他), 共著, 2024年Manuscript Leaves in the Naito Collection, The National Museum of Western Art: A Catalogue Raisonne, Article, review, commentary, editorial, etc. (other), Multiple Authorship , 2024
-
「ほんの少し度数が上がると」―美術館ができること, ピエリア, 東京外国語大学出版会&附属図書館, 記事?総説?解説?論説等(その他), 単著, 2024年A Few Degrees More": What museums can do, Pieria, Article, review, commentary, editorial, etc. (other), Single Author, 2024
-
スペイン中世写本の楽しみ:慶應義塾図書館蔵書を中心に 展示資料解説, 慶應義塾図書館 展示室, 記事?総説?解説?論説等(その他), 共著, 2024年Esplendor iluminado: manuscritos hispanos medievales, Article, review, commentary, editorial, etc. (other), Multiple Authorship , 2024
-
1983年のスペインから――表現の自由と風紀紊乱のはざま, 総合文化研究, 東京外国語大学総合文化研究所, その他, 単著, 2018年
-
南欧地名校閲および関連項目新規執筆, 『広辞苑』第七版, 岩波書店, その他, 共著, 2018年
-
「スペイン料理‐海と大地と太陽の恵みを食べる」, 世界を食べよう, 東京外国語大学出版会, その他, 単著, 2015年
講演?口頭発表等 / Presentations
-
Algo más que Zen, Ponencia Magistral del Ciclo Encuentros Internacionales, International presentation, Oral presentation (invited, special), 2019
-
Arte en el Toledo medieval: convergencias y divergencias, The 8th International Medieval Meeting Lleida, 国際会議, 口頭発表(招待?特別), University of Lleida, 2018年
-
カトリック王と宗教的マイノリティ集団:写本挿絵にみるカスティーリャ王国アルフォンソ10世とその宮廷, 早稲田大学高等研究所セミナーシリーズ:新しい世界史像の可能性 「中世スペインの王権と宗教的マイノリティー」, 国内会議, 早稲田大学中世?ルネサンス研究所共催, 口頭発表(招待?特別), 早稲田大学, 2018年
-
「ムデハル美術」を振り返る ―その功罪をめぐって, スペイン史学会第39回大会「ムデハルとは何か?―中世スペインの宗教?文化的多様性をめぐる議論と展望」, 国内会議, スペイン史学会, シンポジウム?ワークショップ パネル(指名), 慶應義塾大学日吉キャンパス, 2017年
-
How to name the past: Some debates in Modern Spain about Medieval Art History, HEC colloquium "Art politics and art history in 20th century Spain", 国際会議, Department of History and Civilization, 口頭発表(一般), European University Institute, Florence, 2016年
-
Formation and Development of the Historiography of ‘Mudéjar Art’ in Spanish Art History, The 6th International Medieval Meeting Lleida, 国際会議, Grup de Recerca Consolidat en Estudis Medievals "Espai, Poder i Cultura, 口頭発表(一般), University of Lleida, 2016年
過去10年間に取得した科学研究費補助金?その他の競争的研究費 /
Research Grants Awarded (in the last 10 years)
-
科学研究費 基盤研究(C) 中世イベリア半島のキリスト教美術とその集合的記憶:マイノリティの役割の(再) 評価(2018年度-2020年度)Scientific research fund Grant-in-Aid for Scientific Research(C) Christian Art in the Medieval Iberian Peninsula and its collective memories: (re) evaluating the role of Muslim and Jewish Minorities(2018-2020)
-
科学研究費 若手研究(B) 中世スペインにおけるキリスト教とイスラーム間の異文化交渉:トレドのムデハル美術(2014年度-2017年度)Scientific research fund Grant-in-Aid for Young Scientists(B) Cross-cultural interactions between Christians and Muslims in Medieval Iberia: a study of Toledan Mudejar art(2014-2017)
Last updated on 2024/9/3