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2015年度世界史セミナーのお知らせ 終了しました!

東京外国語大学 夏期世界史セミナー ―世界史の最前線VII―

(海外事情研究所主催?高大連携事業)

2015年7月27日(月)~28日(火) 東京外国語大学府中キャンパス 研究講義棟 227(予定)

ウェブでのお申し込みは、
https://business.form-mailer.jp/fms/2f2d0ad240551
からどうぞ!

プログラム(※今後の調整によって、多少、変更になる可能性もあります。)
※講義4と講義6の順序が入れ替わりました。
※大学紹介が1日目の講義終了後に行われます。

7月27日(月)
10:00~10:30 受付
10:30~11:40 世界史科研調査結果報告 (鈴木茂)
11:40~12:30 上記にかんする討論
12:30~13:20 昼休み
13:20~13:30 海外事情研究所所長挨拶 (大川正彦)
13:30~14:30 講義1 なぜいまISなのか-近現代イスラーム(思想)史から考える-(飯塚正人)
14:30~14:50 質疑応答
14:50~15:50 講義2 合衆国独立再考 (金井光太朗)
15:50~16:10 質疑応答
16:10~16:40 大学紹介

7月28日(火)
09:00~09:30 受付
09:30~10:30 講義3 「記憶の日」と「追憶の日」-戦後イタリアにおける歴史認識と記憶の分断- (小田原琳)
10:30~10:50 質疑応答
10:50~11:10 休憩
11:10~12:10 講義4 日本近世社会とキリシタン (吉田ゆり子)
12:10~12:30 質疑応答
12:30~14:00 昼休み意見交換会?懇親会(学生会館ホール)
14:00~15:00 講義5 イスラーム世界と日本を結んだ男-アブデュルレシト?イブラヒム(1857-1944)- (小松久男)
15:00~15:20 質疑応答
15:30~15:40 休憩
15:40~16:40 講義6 歴史をいかに伝えるか-ラオスにおける歴史認識の変化と記念日、記念碑- (菊池陽子)
16:40~17:00 質疑応答

  

参加条件

日程 2015年7月27日(月)、28日(火)(2日間)

会場 東京外国語大学 府中キャンパス(東京都府中市朝日町 3-11-1)
西武多摩川線「多磨」駅より徒歩5分、又は京王線「飛田給」よりバス

対象 高等学校、予備校の世界史担当教員

受付締切 2015年7月14日(火) 23:59まで

受講料 無料

懇親会 無料

応募方法

下記URLよりフォームにしたがってお申し込み(2015年7月14日(火) 23:59まで)
https://business.form-mailer.jp/fms/2f2d0ad240551

あるいは

こちらの申込書をFAXにて送付(FAX番号:042-330-5155)

なお、宿泊が必要な方は、事前に宿泊先を確保した上でお申し込みください。

詳しくは、 こちらのパンフレットをご覧ください。

講演概要

鈴木茂 世界史科研調査結果報告
 東京外国語大学では2006年から2014年まで、前期日程入学試験で「世界史」を必修としてきた。また、同大学海外事情研究所では、2009年から高校の「世界史」担当教員を対象とする「夏期世界史セミナー」を開催してきた。これらの経験を踏まえ、科研費研究プロジェクト「地域研究に基づく『世界史』教育の実践的研究」(基盤B、研究代表:金井光太朗、2013~2015年)を立ち上げ、研究の一環として、3年間にわたり本学入学者を対象とする学生アンケート、夏季セミナー参加者と学生アンケートで判明した高校教員へのアンケート、およびその一部の高校教員への聞き取り調査を実施した。質問項目は、教科書と教材、歴史教育の現状や問題点や意義など多岐に及ぶ。この報告では、これらの調査の概要を紹介し、高校世界史教育の現状と問題点、世界史教育をめぐる高大連携の展望について考えてみたい。

飯塚正人「なぜいまISなのか -近現代イスラーム(思想)史から考える 」
 いまや世界の注目の的となっているIS。
 彼らの出現と急成長の背景には多元的?複合的なものがあり、今世紀に限ってみても、2003年のイラク戦争や2011年以降のいわゆる「アラブの春」、特にシリア内戦とイラク情勢を抜きにしては語れない。しかしながら、ここではもっと長いタイムスパン、すなわち19世紀に遡る近現代イスラーム(思想)史の観点から、なぜいま、時代錯誤にしか見えないISのイスラームが一部のムスリムをこれほどまで強烈に引きつけるのかを考えてみたい。
 19世紀に入って西欧諸国がムスリム諸国を圧倒し始めたとき、ムスリムのうちのある者は西欧流の政教分離に基づく国民国家の建設を目指し、またある者は過去のイスラーム解釈を再検討して近代にふさわしいイスラームを産み出そうとした。しかるに、この2つの試みが必ずしも成功しないなか、1970年代以降はいわゆる「イスラム原理主義」が高揚する。ムスリム自身が何をイスラームと考えるのか、あまりに多様な主張が乱立する時代だからこそ、人は「原理主義」のわかりやすさに引きつけられるのだろう。思想史的に見れば、ISはこうした流れのなかで生まれた鬼子に他ならず、だからこそ根が深いのである。

金井光太郎「合衆国独立再考」
 「代表なければ課税なし」、自由?平等?幸福の追求、アメリカ合衆国の独立は非常に分かりやすく説明されている。しかし、その解釈はその後の合衆国の発展から構築され正当化されたものであろう。まず、本国の統治はどのようなものであり、アメリカ人はなぜ反抗したのであろうか。また、当時主権国家として独立することは万国公法が支配する国際社会に参加するのであり、政府は国民が求めることをただ執行するのでは済まない。広大な西方の土地も他者を排除し自由に開拓するわけにはいかなかった。「万国」の認める枠内で?イギリス帝国、スペイン帝国、先住民、アフリカ系奴隷との関係を作ってゆかなければならない。そうした制約を脱して合衆国が目指した独立を実現しアメリカ的自由を達成したのが、モンロー?ドクトリンなのであった。西半球ではアメリカ的自由が正当価値となり、アメリカの世紀、20世紀にはグローバル?スタンダードとなった。

小田原琳 「「記憶の日」と「追憶の日」—戦後イタリアにおける歴史認識と記憶の分断」
 イタリアでは2000年代に、第二次世界大戦にかかわるふたつの記念日が制定されました。「記憶の日」(1月27日)は、アウシュヴィッツの解放と、イタリアにおけるユダヤ人迫害の歴史、迫害に抵抗したひとびとを記念するものです。一方「追憶の日」(2月10日)は、第二次大戦後のイストリア、フィウメ、ダルマツィア(旧ユーゴスヴィア)からのイタリア人の脱出と、共産党勢力によるイタリア人虐殺事件の「記憶を保存する」記念日です。
 記念日とは、どのようなできごとを、だれを、だれが記念するかという意図において、国家と国民の歴史的な自己認識を顕在化させます。このふたつの記念日には、イタリアの20世紀前半の帝国主義、人種主義、ファシズム、戦争の経験と、それらの過去をめぐる歴史認識の問題が凝縮されています。このふたつの記念日が言及する事件や制定の背景の検討を通じて、今日のイタリアにおける過去との向き合い方を考えたいと思います。

菊池陽子「歴史をいかに伝えるか-ラオスにおける歴史認識の変化と記念日、記念碑」
 ラオス人民民主共和国(以下、ラオス)は、1975年12月2日に成立しました。1975年、インドシナの政治状況が大きく変化する中で、カンボジア、ベトナムに続いて、最後に成立した社会主義政権がラオスでした。社会主義国家の建設を目指したラオスの現政権は、ソ連のペレストロイカ、東欧諸国の民主化、ソ連の解体、アセアン10の成立など、ラオスを取り巻く国際環境の変化に対応して、現在、数少ない社会主義政権として存在しています。
現政権はラオス人民革命党による闘争の歴史に支配の正当性を求めてきましたが、国際環境の変化に応じて、正当性を維持するためにいかにラオスの歴史を語るかという歴史の語り方を変化させてきました。その変化をご紹介するとともに、そうした現政権の歴史認識を国民にいかに発信しているかを記念日や記念碑から考察していきたいと思います。

小松久男「イスラーム世界と日本を結んだ男-アブデュルレシト?イブラヒム(1857-1944)」
 最近イスラーム世界の動向が日本のメディアに報じられない日はない。こうした中で、イスラーム世界を理解する必要が指摘されているが、イスラーム世界を歴史的に遠く離れた世界と考える傾向はなお根強いように思われる。しかし、日本の近現代史はイスラーム世界のそれと交錯する面をもっていた。今回はその具体的な事例を、ロシア生まれのタタール人イスラーム教徒アブデュルレシト?イブラヒムの活動を通して考えてみたい。1909年に初来日した彼は、日露戦争に勝利した日本を列強による支配からの解放を望むイスラーム世界の盟友と認め、日本のアジア主義者たちと親交を結んだ。以後、彼の活動は戦前日本の対イスラーム政策と密接に関わることになる。

吉田ゆり子「日本近世社会とキリシタン」
 「鎖国」体制が敷かれた理由の一つがキリスト教の禁止であったことはよく知られている。しかし、九州における「潜伏キリシタン」の存在とそれに対する幕府の弾圧、あるいは大塩平八郎により摘発され、文政11(1828)年に幕府評定所で審議された水野軍記と豊田貢や周辺の人々を巻き込んだ「邪宗門一件」、明治2(1869)年長崎五島でのキリシタン弾圧に対する列強からの抗議等にみられるように、近世を通じてキリシタンに関わる事件は起きた。幕府は、キリシタン禁止という一貫した建て前をとるものの、200年以上の時間の経過とともに、社会の実態と幕府の認識も変化していった。さらに、幕末、居留地でのキリスト教信仰を容認するに至る経緯の中で、ロシア使節プチャーチンとの折衝の中でキリスト教信仰についての認識が現れてくる。
 今回は、こうしたキリスト教の問題を、「鎖国」に至る過程のみならず、近世を通した視点からとらえなおし、日本社会のキリシタンの実態を解きあかすとともに、幕府の対応、また幕末維新期の諸外国の対応を改めて検討してゆく。


講演概要のPDF版はこちら

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