多文化共生に関する科目群
多文化共生社会への誘い
互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築きながら、共に地域社会を支える「多文化共生社会」を目指して?
長きにわたって外国の言語とそれを基底とする文化一般を研究してきた東京外国語大学は、個々の尊厳を守り、多様性を尊重する「多文化共生社会」を目指します。
このガイドでは、多言語多文化化する日本で、異文化間の相互理解に寄与し、日本と世界の架け橋になるさまざまな方法を学ぶことのできる授業を紹介します。
持続可能な開発目標(SDGs)
目標4「質の高い教育をみんなに」 目標10「人と国の不平等をなくそう」
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」 目標16「平和と公正をすべての人に」
多文化共生を学ぶ科目群
- 世界諸地域の人々と協働し、地球的課題に取り組む
- 多文化化する日本や社会の諸問題の解決に貢献する
- キャリアにつながる学びと課外活動
- 「たふれこ」でアピール
※履修にあたっては、履修案内とシラバスを参照し、指示に従ってください。
言語文化学部?国際社会学部?国際日本学部
世界教養プログラム(第1?2年次、3学部共通)
- [地球社会と共生1A]Intercultural Communication and Miscommunication(180013)森田京子 春?金4
- [地球社会と共生1B]Culture, Power, Identities(180014)森田京子 秋?金4
- [地球社会と共生2B][COIL] 「開発援助」それは世界を救うことか、それともコミュニティに変化をもたらすことか~「開発」の最終目的地は日本のような国か(180230)福田 彩 他 夏?集中
- [市民社会と協働2]国際ボランティア学入門(19180004)小島祥美 秋?火4
- [多文化社会1]「多文化共生」の批判的理解のために(19180023)萩尾 生 春?水4
- [多文化社会1]多文化共生と言語(19180025)嶋原耕一 春?木1
- [多文化社会1〔異文化理解〕]異文化間教育(19180026)布川あゆみ 春?水3
- [地球社会と共生2B]多言語社会の捉え方(19180027)萩尾生 秋?水4
- [多文化社会2][COIL]インストラクショナルデザインと異文化間能力(19180029)福田彩 秋?木5
- [多文化社会2]多文化共生社会への誘い [Joint Learning Program] 小島祥美他 秋?水3
スタディツアー
- [社会協働1]地域活性化のためのスタディツアー(19180238)吉田ゆり子他 夏?集中
- [社会協働2]地域活性化のためのスタディツアー(19180240)吉田ゆり子他 冬?集中
- [スタディツアー]国連研修プログラム(19180242)高瀬千賀子 冬?集中
専修専門科目
言語文化学部
- [多言語?多文化社会論概論B]日本社会入門(312112)シートン 秋?金3
- [多言語?多文化社会論研究A]外国につながる子どもと教育①(412054)小島祥美 春?火4
- [文化研究入門3]世界における多文化共生(19211012)丹羽京子 春?水4
- [文化研究入門4]世界における多文化共生(2)(19211013)真鍋 求 秋?水4
- [多言語?多文化社会論概論1]コミュニティ通訳概論(19312025)内藤稔 春?木1
- [人間科学研究1]「多文化社会日本」を考えなおす――マジョリティ-マイノリティ関係の観点から(19412059)明戸隆浩 春?月2
- [人間科学研究2]「多文化社会アメリカ」の軌跡――公民権運動からトランプまで(19412061)明戸隆浩 秋?月2
- [人間科学研究3]外国につながる子どもと教育②(19412063)小島祥美 秋?水1
国際社会学部
- [世界認識論入門]レイシズム?スタディーズ入門(19222001)梁英聖 春?木2
- [社会関係論入門]ジェンダー論入門(19222005)金富子 秋?木5
- [歴史社会研究概論1]「周縁」から考えるグローバル?ヒストリー(19321004)伊東剛史、大鳥由香子 春?月2
- [歴史社会研究入門1]世界史を開く(19221003)福嶋千穂 春?水4
- [レイシズム?スタディーズ1]レイシズム?スタディーズ1(19422060)梁英聖 春?水1
- [レイシズム?スタディーズ2]レイシズム?スタディーズB(19422061)梁英聖 秋?水1
- [教育社会学1]子ども?学校?家族から学ぶ教育社会学(19422004)加藤美帆 春?水2
- [国際協力論2]International Cooperation(19423053)William Barriga 冬?集中
- [社会学2] 現代社会論 (19422007) 上原こずえ 秋?木2
- [社会学3] 国際社会学ーー国民国家の枠組みを超えて (19422011) 田邊佳美 春?水2
- [社会学4] 移民と国家の社会学 (19422012) 田邊佳美 秋?水2
国際日本学部
- [多文化コラボレーション1] Conducting a collaborative research project online (19J1001) 大津友美, 幸松英恵, 春名展生 春?木3
- [多文化コラボレーション2] Presenting and Evaluating Research Project in Groups (19J1002) 阿部新, 石澤徹 秋?木3
- [多文化社会論1]多文化共生社会における集団記憶:東アジアにおける「歴史問題」(19J4004)シートン 春?月2
- [多文化社会論1]外国につながる子どもと教育①(19J1001)小島祥美 春?火4
- [多文化社会論2]異文化理解(19J4006)小松由美 秋?金3
- [文化理解]Reconsidering "Japanese" through Cultural Aspects(19J4003)萩尾生 秋?木1
大学院総合国際学研究科
- [日本語教育学研究1]多文化共生関連の研究読解(530291)嶋原耕一 春?月3
- [多文化コーディネーション研究1]多言語多文化マネジメント(553001)小島祥美 春?水1
- [多文化コーディネーション研究2]多言語社会としての日本(553002)萩尾生 秋?木3
- [多文化コーディネーション研究2]多文化コーディネーション実践演習(553004)萩尾生、小島祥美 冬?集中
Joint Learning Program 2021
多文化共生教育コンソーシアム
多文化社会に向き合う四大学が連携し、地域的特性や専門性を生かしたJoint Learning Programを提供します。本学では世界教養プログラム「多文化社会2:多文化共生社会への誘い」(秋学期?水曜3限)が四大学のリレー講義として実施されます。
各大学提供の授業内容
宇都宮大学
- アフリカで考える多文化共生
- 19世紀ヨーロッパにおける帝国主義への反省と現代に残された課題
- イメージの理解?多文化共生教育への応用可能性
長崎大学
- 熱帯途上国で環境と健康を探求する
- 移民の視点から世界を捉え直す
弘前大学
- ニュージーランドにおけるマオリとパケハ:文化的融合と環境政策
- 文化人類学の立場から見た多文化共生
- LGBTQAの人たちと人権の視点からみた暮らし
東京外国語大学
- 外国人への日本語教育
- コミュニティ通訳の世界
★四大学の学生によるディスカッションなど交流型授業もあります。
本学で Joint Learning Program 2021を担当する先生方をご紹介します。
コミュニティ通訳の世界
担当教員:内藤 稔
多文化化が進む日本社会において、在留外国人が暮らしの中で抱える様々な問題の解決にあたり、言語面から支援を担うコミュニティ通訳の世界を概観します。
外国人への日本語教育
担当教員:阿部 新
日本には2019年度末で約293万人の在留外国人が、また、2019年10月末で約166万人の外国人労働者がいます。2019年には「日本語教育の推進に関する法律」が公布、施行され、日本語教育の推進に拍車がかかっています。このような日本語教育の現状について、指導者及び学習者の視点で概観します。主に日本国内について扱い、日本各地の概況にも触れて、各地の日本語教育?日本語支援について考えます。
オリエンテーションおよび交流型授業担当
担当教員:小島 祥美
日本の公教育において、外国籍者はいまだ就学義務の対象とされていません。こうした解釈によって、さまざまな困難を抱える外国につながる子どもがいます。公立学校や外国(人)学校に通う子どももいますが、就学できていない子どももいます。
私たちが暮らす地域はどのような現状か? 授業では教育課題にフォーカスして知見を深め、課題解決に向けて各自ができる「行動」をみつけます。
多文化共生分野で活躍する卒業生たち
菊池 哲佳 (きくち あきよし)さん
- 所属学部:外国語学部 ドイツ語専攻
- 卒業年:1998年
- 現在の職業:仙台多文化共生センター センター長(公益財団法人 仙台観光国際協会国際化推進課)
- 仕事の内容:仙台多文化共生センターにおける外国人相談事業、市民の国際活動支援
- ひとこと:2000年に財団法人仙台国際交流協会(現在の公益財団法人 仙台観光国際協会)に入職し、主に外国人相談事業、防災事業、外国につながる子どもの支援事業に携わってきました。東外大生として過ごした4年間では、授業での学びはもとより、学内外での全てのさまざまな経験が、「多文化共生」に取り組むうえでの貴重な糧になっています。また、10年前の東日本大震災での連携は、母校との心強い「つながり」を実感する忘れられない出来事です。私は当時、外国人被災者に多言語で災害関連情報提供をする「仙台市災害多言語支援センター」の運営に携わりましたが、東外大同窓生や関係者がそれらの情報の翻訳に協力くださるなど、多大な支援をいただきました。卒業生として、東外大の「多文化共生」推進に向けた更なる取り組みに期待しています。
大室 奈津美 (おおむろ?なつみ)さん
- 所属学部:言語文化学部 アラビア語専攻
- 卒業年:2017年
- 現在の職業:NHK記者
- 仕事の内容:事件事故や災害、行政の動き、地域の課題など、さまざまなテーマを取材して、ニュースの原稿を書いています。
- ひとこと:現在は九州の大分県にある放送局に勤務し、県内の話題を中心に取材しています。大分県は人口10万人あたりの留学生数が全国で3番目に多かったり(令和元年度時点)、九州で最も古いモスクがあってイスラム教徒のコミュニティが活発だったりと、意外にも多文化に接点が多いのですが、まだまだ理解は進んでいません。ニュースを通じて少しでも関心を持ってもらおうと、コロナ禍で経済難に直面する留学生や、文化の違いに戸惑うイスラム教徒の姿などを積極的に取り上げています。日々あらゆる立場や背景の人に取材する中で最も大切にしているのは、”相手の思いを想像すること”。こうした姿勢は外大で未知のことばや文化を学び、時にはその土地に飛び込んで、異なる背景を持つ人々の境遇や思いを理解しようと努めた経験から形作られたもので、今の自分の土台になっています。
平田 春奈 (ひらた?はるな)さん
- 所属学部:外国語学部 中国語専攻
- 卒業年:2006年
- 現在の職業:静岡県職員(くらし?環境部 県民生活局 多文化共生課)
- 仕事の内容:現在、静岡県職員として、県内に住む外国人との多文化共生に取り組んでいます。
- ひとこと:外大で学んだ多文化共生?ダイバーシティの視点で、「誰もが活躍できる社会の実現」を目指し、やさしい日本語の普及や防災意識の啓発等を行っています。県の職員は、「県民のために働く」という明確な目的があるので、仕事に対するモチベーションを高く保つことができる上、ワークライフバランスを重視した働き方をすることができます。とてもやりがいのある仕事ですので、興味のある方はぜひ検討してみてください。