2017年度 活動日誌
3月 活動日誌
2018年3月31日
GJOコーディネーター 大山 祐李
3月のライデンは、まさに三寒四温の毎日です。先月より暖かくなったと思ったら、急に冷たい風が吹いて寒くなり、また何日か日差しが出てきたかと思ったら、次の日は雨が降って気温が下がったり……と、春が来そうでなかなか来ません。
さて、今月17日には在オランダ日本大使館主催の日本語弁論大会がデン?ハーグで行われ、ライデン大学日本学科からも5名の学生と1名の卒業生が参加しました。本GJOではライデン大学から弁論大会に出場する学生をサポートするため、スピーチクラブを立ち上げました。クラブには5人の日本学科の学生と、4人の日本人留学生が参加してくれました。
スピーチクラブでは主に表現の推敲と発音の練習を行いました。ライデン大学の学生たちのスピーチを聞いて、日本人留学生たちや私から「こんな言い方をしたら、言いたいことがもっと伝わるんじゃないかな」「この言葉のアクセントはこうだよ」「ここでポーズを置くと聞きやすくなると思う」などと細かくアドバイスをしていきました。最初はつっかえつっかえ原稿を読んでいた学生もいましたが、練習を重ねるごとにスピーチが上手になっていく様子を見て、本番が待ち遠しくなりました。
そしていよいよ大会当日になり、スピーチクラブ全員で会場に向かいました。今回の第31回日本語弁論大会のスピーチテーマは参加者が各自自由に設定してよいということで、オランダ中から集まったたくさんの日本語学習者の方々が、様々な興味深いスピーチを発表していました。ライデン大学の学生たちは、それぞれ「日本語を勉強する理由」「日本の自然」「日本人と規律」「和食」「方言」というテーマで、自分の経験から考えたことについてスピーチしました。学生たちは、大会が始まる前は「緊張しています……」と言っていましたが、本番では皆とても落ち着いていて、練習以上に素晴らしい発表をしていました。
すべての発表が終わり、大会最後の授賞式では、大勢の観客と参加者が見守る中、なんとライデン大学の学生二名が特別賞と最優秀賞(優勝)に選ばれました。学生の名前が呼ばれたときは会場中が拍手に包まれ、私も思わずワーっと喜びの声をあげてしまいました。熱心に練習したその努力が実って本当に良かったなと思います。また今回受賞を逃した学生も、それぞれに本当に素晴らしい発表をしていました。
短い間でしたが、スピーチクラブとして学生たちのお手伝いをさせていただいて、私も良い経験ができました。弁論大会を通じて、勉強するための日本語ではなく、「伝えるための日本語」をもっと意識して教えたいなと改めて思いました。来月の授業も頑張りたいと思います!
2月 活動日誌
2018年2月28日
GJOコーディネーター 大山 祐李
2月のライデンは寒波に見舞われ、運河が凍るほど寒くなりました。外を歩いていると、顔の皮膚が切れるのではないかと思うくらい寒風の激しい日が続いています。それでも街には、ミニスカートに薄いストッキングで自転車に乗っている人や、半ズボンを履いて歩いている人がいるので、びっくりしてしまいます。
いよいよ新学期が始まり、キャンパスもまた賑やかになりました。
今月から1年生のゼロ初級の授業「Japanese1」がスタートしました。最初は緊張した雰囲気のあった学生たちでしたが、一ヶ月経った今ではお互いに打ち解けてきたようです。学生のほとんどが初学者ですが、中にはもうすでに自分で勉強してきた学生や、日本に留学したことのある学生もいて、クラスを引っ張っていってくれています。
2月の初級クラスでは、平仮名と片仮名の導入を終えました。平仮名は画数の少ない「し」や「つ」などから始め、段々と形の複雑な「あ」や「ね」などに進めていくのですが、1画で丸まったり折り返したりする平仮名独特の書き方に苦戦している学生も多く、なかなかバランスよい平仮名を書くのが難しそうです。また平仮名や片仮名は似た形のものが多く、「ま」「ほ」「は」や「ソ」「リ」「ン」などを見分ける練習をすると、「全部同じに見える!」という声が上がります。
そろそろ一ヶ月が経ちますが、まだまだ平仮名をスラスラ読み書きするのが難しい学生も少なくありません。私も子供の頃、「あ」と「お」の違いがわからず、いつまで経っても「あ」が書けなかったのを思い出しました。彼らにとって馴染みのない日本語の文字を一気に覚えるのは大変ですが、頑張ってほしいと思います。
3月からはいよいよ漢字が始まります。少しずつ日本語に慣れていってもらえるよう、私も工夫して授業をしていきたいと思います。
1月 活動日誌
2018年1月31日
GJOコーディネーター 大山 祐李
1月のライデン大学は冬休み真最中です。授業期間中は学生で賑わうキャンパスも、人が少なくシンと静かで少し不思議な感じがします。
今月はライデン大学デン?ハーグキャンパスで日本語を学ぶ学生たちと茶話会を開きました。茶話会には日本人留学生の皆さんもお招きして、お茶とお菓子をいただきながら日本語で色々な話をしました。
今回茶話会を企画した理由は、学生たちに日本語を使って自由に表現する機会と、生きた日本語に直接触れる場を提供したいと思ったためです。オランダに暮らす学生たちは日常生活で日本語に触れるチャンスがあまりないこともあり、学生からはもっと日本語で話したい、なまの日本語を知りたいという声をよく聞きます。特に多いのが、授業内で決まったテーマについてだけ話すのではなく、もっと自分の好きなことを話したいという声です。今回はこのような学生の要望に応えて、茶話会を実施しました。
まず会の初めに、一人ずつ簡単に自己紹介をしてもらいました。私が日本語で「自己紹介をしてください」と言うと、学生の何人かから「自己紹介は何ですか?」と返ってきました。私が「”紹介します”は何ですか?」と聞くと、ある学生から「To invite?」との答えがありましたが、それは「しょうたいする」です。どうやら冬休みの一ヶ月の間に、先学期に勉強した日本語を忘れてしまったようです。しかし「自己紹介」の意味がわかると、皆上手に「私は〇〇です。〇〇に住んでいます。趣味は……」と自分の名前や国、好きなものなどについて話をしていました。
そして無事に全員の自己紹介が終わると、雑談が始まりました。学生たちと日本人留学生は初対面でしたので、まずはお互いに趣味や出身地について聞き合っていました。学生たちは「?たことがありますか」「どんな?が有名ですか」など、勉強した文型をしっかり使いこなして日本人留学生たちに質問をしていました。
また、日本文化についてどんなことを知っていますか、という質問が日本人留学生から出ると、学生たちからは「KAWAII」という答えが出ました。学生たちは日本文化に関する授業で「KAWAII」について勉強したそうです。日本人留学生たちは「授業でこんなことを勉強するんですか」と少し驚いていましたが、この話題は大変盛り上がりました。
会話の途中、ときどき日本人留学生たちから「めっちゃ」「マジで」などの教科書に載っていない日本語が飛び出してきました。私がそれらの言葉を説明するたびに、学生たちは興味津々で覚えようとしていたのが印象的でした。やはり教科書に載っていない日本語を覚えるほうが、面白く感じるようです。
この茶話会を通して私が驚いたことは、日本人留学生の皆さんのスピードの速い自然な口語に、学生たちがしっかりとついていっていたことです。私は授業中に既習文法のみを使ってゆっくり話すのですが、もっと早口で話しても大丈夫そうだな、と新たな発見がありました。
今回はまだ新学期が始まっておらず、帰省先の実家からまだ戻っていない学生も多かったため、全部で10人の小さな茶話会となりました。人数は少なかったですが、その分全員が積極的にたくさん話すことができたと思います。学生たちからも、好きなことをたくさん話せてよかったと言ってもらえました。この機会に、自分たちが勉強してきた日本語でどんなことが話せるのか、どれくらい使えるのか、ということを実感してもらうことができたと思います。
また今後もこのような会を開きたいと思います。
12月 活動日誌
2017年12月31日
GJOコーディネーター 大山 祐李
今月はいよいよ冬学期最後の授業になりました。
筆記試験の直前の文法の授業では、既習の動詞の活用(テ形、タ形、可能形、意向形、?たい…)を総復習しました。私が「今まで勉強した活用形の作り方を復習しましょう」とハンドアウトを配り始めると、みんな「あれ、これはどうすればいいんだったっけ?!?」と隣同士で相談しながら熱心に取り組んでいました。中には、家でもう一度自分で復習するためにハンドアウトをもう一枚ほしい、と言ってきた学生も何人かいました。
普段の授業では、「読みて」「読められる」などの間違いが学生から出てくる度「読んで」「読める」と直してはいましたが、体系的に再確認する機会がなかなかありませんでした。学生たちも、どんどん出てくる新しい文型を勉強するだけでも大変で、活用形の一つ一つをしっかり覚える時間がとれなかったようです。
復習中もやはり「本を読みています(読んでいます)」「本が読んだい(読みたい)」などの間違いが出てきましたが、今回の授業課題で、自分たちの理解が曖昧になっていた部分が確認できたようでした。試験前に総復習する機会ができてよかったです。
そして授業の最後には、クリスマスの季節にぴったりな『サンタがまちにやってくる』の曲に合わせた「テ形のうた」を紹介しました。この歌は、動詞をテ形に活用するルールを覚えるための歌です。最初は、授業で歌を歌わせたら恥ずかしがるかな?と思っていたのですが、学生たちは「こんなに暗記に役立つ歌があるなら、もっと早く知りたかった!」と言ってくれました。来学期は、もっと歌などを積極的に取り入れてみようと思います。
今学期はライデン大学の先生方にたくさん助けていただいて、無事に授業を終えることができました。楽しいことやうまくいかないこと、色々なことがありましたが、学びの多い4ヶ月間でした。来学期は、今学期よりももっと分かりやすい授業ができるよう、頑張りたいと思います。
11月 活動日誌
2017年11月30日
GJOコーディネーター 大山 祐李
ライデンでは、毎週水曜日と土曜日に運河沿いで市場が開催されます。先日その市場で果物を買ったのですが、家に帰って一口食べて驚きました。なんと、冷凍みかんになっていました。その日の気温は日中もマイナス1度と大変寒く、売られている間に凍ってしまったのでしょう。思いがけず日本の学校給食の懐かしい味にオランダで遭遇することができ、不思議な心地がしました。
この11月は、学生が日本留学の申し込みを始めたり、中には早速留学が決まった学生が出てきたりと、授業中もなんとなくみんながソワソワしていたひと月でした。日本から遠く離れたオランダで日本語を勉強している学生たちにとって、日本に行って実際に日本語が使えるチャンスができるというのは、刺激的なことだろうと思います。
学生に提出してもらった作文課題を読んでいると、「今度日本へ行くときまでに、もっと日本語が上手になりたいです。」「頑張って日本語を勉強して、日本で日本人とたくさん話したいです。」など、留学に向けてワクワクしている気持ちが伝わってくるような作文がたくさんありました。
また、授業が終わってから熱心に質問にくる学生も少なくなく、中にはまだ授業では勉強していない文法について聞きにくる学生もいます。私も学生たちの熱意に応えられるよう、精一杯授業を頑張りたいと思います。
また、11月は授業見学の機会が何度かありました。日本語学科のほかの先生方が担当されている授業に伺ったり、私の授業にほかの先生が見にいらしてアドバイスをいただいたりしました。
私はほかの先生が担当されている初級の文法の授業と、会話の授業にそれぞれ見学に行かせていただきました。どちらの先生も、授業中にかなり早口で日本語を話していらっしゃったのに大変驚きました。学生にとってナチュラルスピードの日本語は速すぎるのではないかと私は思っていたのですが、学生たちはしっかりとついていっていました。
反対に、私の授業を見に来られた先生からは、私の話すスピードが遅すぎるんじゃないかとご指摘をいただきました。私は学生たちに配慮するつもりでゆっくり話していたのですが、その先生からは実際に学生が日本に行ったときに困らないよう、教師は自然なスピードで話して耳を慣らしてあげたほうが良い、と指導していただきました。
学生たちが日本に留学して日本人と話したときに、「オランダで先生の話していた日本語と全然違ってわからない!」とならないためにも、やはり自然な日本語を教えなければ意味がないな、と反省しました。
このように改善すべき点が多々ありましたが、たくさんアドバイスをいただけて大変勉強になりました。また、先生から「授業中に学生がよく笑っていて、楽しそうだったのが良かった」とコメントをいただけたのは何より嬉しかったです。
今学期も残りわずかとなりました。来月はいよいよ期末試験ですが、前期最後まで頑張りたいと思います。
10月 活動日誌
2017年10月31日
GJOコーディネーター 大山 祐李
10月のライデンは、雨が多くなってまいりました。日中の晴れて明るい間に突然土砂降りの雨が降ってくることもあり、一日の間に何度もコロコロと変化する空模様に大変驚きます。冷たい秋風も随分強くなってきており、日本語の授業に参加している学生の中にも、体調不良での欠席がちらほら出てきました。私も体調管理に気をつけたいと思います。
会話のクラスでは、授業の最初に余談として教科書には載っていない日本語の話をするようにしています。今月のある授業では、冬が近づいてきたこともあり、「手洗いうがい」の話をしました。学生たちにとって、このような日本の生活習慣に密着した言葉を知る機会は少ないため、皆熱心に聞いてノートをとったり質問をしたりしてくれました。
また会話の授業では、毎回何名かの学生に1分間のスピーチをしてもらっています。スピーチの内容はオランダの地理についてだったり、オランダ人の生活習慣についてだったりと様々ですが、こういったオランダ文化の話を聞くのは私にとっても新鮮で、非常に興味深く感じます。授業中は私が日本語を教えるだけでなく、学生たちもこのように様々なことを私に教えてくれるので、とても勉強になります。
10月23日には、ライデン大学アーセナール棟の本オフィス前にて、本拠点の看板上掲式を行いました。ライデン大学からは、日本学科学科長のイフォ?スミッツ先生、大学院アジア研究科研究科長で、本学大学院元特別招へい教授のイーサン?マーク先生、そして日本研究科語学部門主任の吉岡慶子先生にご出席いただきました。本学からは、特命事項担当室(国際担当)の萩尾生先生、アジア?アフリカ言語文化研究所の近藤信彰先生をはじめ、多くの教職員、学生、また本学からライデン大学へ留学している学生が参加いたしました。
式ではライデン大学のイフォ?スミッツ先生と本学の萩尾生先生よりご挨拶いただきました。両先生のスピーチに、「看板の中身を充実させていきましょう。」という言葉がありました。ときどき私たちは物をつくると、それができた途端に何かが達成できたかのように安心してしまいますが、物ができたところからが本当のスタートなのだ、というメッセージです。この言葉をしっかりと受け止め、この度この看板が設置されたことを機として、ますます活発に、より積極的に両学の交流を深めていきたいと思います。
9月 活動日誌
2017年9月30日
GJOコーディネーター 大山 祐李
9月、いよいよライデン大学の新学期が始まりました。オランダの秋は雨ばかりだと聞いていましたが、今年は気持ちの良い天気が続いています。オランダは自転車大国として有名ですがライデン市も例外ではなく、どこを歩いていても自転車が横をビュンビュンと通りすぎていきます。大学の建物の周りにも、たくさんの自転車が停めてあります。
また、今年は「ライデンアジアイヤー」とのことで、ライデン市の様々な場所でアジアに関するイベントや展示が催されているようです。中央駅の近くにある国立民族学博物館では「COOL JAPAN」と題した特別展が行われており、アニメから浮世絵まで、幅広く日本の文化が紹介されています。(図1)
今月は、新学期が始まる前にまずライデン大学に留学している日本人留学生の皆さんでランチミーティングを開き、顔合わせと交流を行いました。本学からの学部留学生も含めて全員で12人が参加し、お互いに自己紹介をして、生活情報を交換し合ったり、今後の学校行事の予定などについて情報共有を行ったりと、良い交流の場となりました。
また、今月から日本語の授業も始まりました。私は初級の文法の授業と会話の授業を担当させていただいています。どのクラスの学生も皆大変意欲的で、授業中は様々な質問が飛び出します。中には授業内容に関連して「こんなことを日本語で言いたい場合はどう言えばいいか」と、まだ学習していない文法を使った表現について質問されることも多々あり、学生たちの積極的に学習に取り組む姿勢に、こちらも大いに刺激を受けるばかりです。
まだ始まったばかりですが、学生たちの熱心さに応えられるよう、これから頑張って参りたいと思います。よろしくお願い致します。