日本語教育リカレントコース 修了者の声
ピンスィー?スパンサーさん
第1期生(2016年10月入学/2017年9月修了)
スワンスナンターラチャパット大学?日本語教師
出身:タイ
―――なぜ本コースを志望したのですか。
私はタイの大学で日本語を教えていたのですが、タイ人が日本人とコミュニケーションをとる際に、文化的な問題が生じることがありました。これらの問題を解決するために、日々の授業で試行錯誤していたところ、恩師からリカレントコースを紹介していただき、日本留学を決意しました。
―――コースではどのような研究をされましたか。
リカレントコースで研究したテーマは「タイ人と日本人の『慰め』ストラテジー」です。指導教員の先生が研究テーマに深く共感し、熱心にご指導くださったおかげで、1年間という短期間で修士論文を完成させることができました。在学中は、日本人の友人が日本語の勉強や生活習慣について様々なアドバイスをしてくれたため、一人暮らしでも充実した毎日を送ることができました。
―――修了後の現在はどのようなことをされているのでしょうか。
日本留学に感銘を受けた私は、帰国後の3年間、日本留学アドバイザーとして多くの学生を日本へ送り出しました。現在はタイの大学院で博士後期課程に在籍し、「慰め」をテーマとした論文を執筆しながら、スワンスナンターラチャパット大学で日本語を教えています。リカレントコースへの留学は、私の人生における大きな転機となりました。
―――リカレントコースへの進学を考えている方へメッセージをお願いします。
リカレントコースのおかげで、1年という短期間で日本語教育についての専門知識を深め、研究を成し遂げることできました。スキルアップを目指している方はぜひ、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
ムハマド?ナズルルさん
第2期生(2017年10月入学/2018年9月修了)
マラヤ大学予備教育部?日本語教師
出身:マレーシア
―――なぜ本コースを志望したのですか。
私は留学生として日本の国立大学で工学を勉強していたのですが、次第に日本語そのものに興味を持つようになりました。そのため、大学卒業後はマレーシアに帰国し、日本語教師になりました。工学出身の私は、本格的な日本語教育の勉強や教師研修の経験がなかったため、日本語教師としての自分になかなか自信が持てませんでした。そこで、日本語教師としての専門性を高め、自信が持てるようになりたいと思い、リカレントコースに応募しました。
―――コースではどのような研究をされたのでしょうか。
私の研究テーマは語彙導入教材の開発でした。私の学生は日本留学試験を受験するため、短期間で膨大な日本語の語彙を習得しなければなりませんでした。そこで、私は日本留学試験に重要な語彙の選定を行い、それらの語彙を効率よくかつ効果的に導入するための教材開発の研究をすることにしました。文科系の研究と論文執筆の経験のなかった私にとって、入学当初は大変なこともたくさんありました。しかし、授業やゼミで先生方にご指導いただいたおかげで、1年という短期間で研究を無事終えることができました。
―――コースでの学びはいかがでしたか。
リカレントコースでは模擬授業を行う機会もあり、先生方や他の学生からコメントやアドバイスを受けることで、今までの自分の授業の進め方を振り返ることもできました。また、インターンシップの授業では、経験豊富な先生の授業を見学することもでき、様々なことを学びました。これらすべてが本当に貴重な経験だったと思っています。
リカレントコースのおかげで、日本語教育に関する専門的な知識の習得だけではなく、日本語教師としての技術を向上させることもできました。そして、修了後の今は、自分に自信も持てるようになりました。
―――リカレントコースへの進学を考えている方へメッセージをお願いします。
充実した設備と環境の中で日本語教育について学ぶことができるのが東京外大のリカレントコースです。日本語教師としての技術を向上させたい方、日本語教育の専門的な知識を学びたいと考える方に、リカレントコースへの入学をお勧めします。
アグラ?イルクピティヤさん
第3期生(2018年10月入学/2019年9月修了)
東京外国語大学総合国際学研究科博士後期課程在籍
出身:スリランカ
―――なぜ本コースを志望したのですか。
私はスリランカのケラニア大学を卒業してから、すぐに大学の日本語科に非常勤講師として採用され、日本語を教える仕事を始めました。最初は文法や漢字などの授業を担当していたため、自分が学生時代に勉強した内容と同じ内容を教えることに自信を持っていましたが、日本語教師として様々な経験をしていく中で、教えることの大変さと難しさを感じるようになりました。教師としての責任を全うするために、自身がさらに成長する必要があると考え、リカレントコースに応募しました。
―――コースではどのような研究をされたのでしょうか。
リカレントコースでは、文章表現の授業で感じていた問題点を解決するため、意見文中での接続詞の使用実態に焦点を当て、シンハラ語母語話者と日本語母語話者との比較研究を行いました。このプログラムは一年間で修士号を取るためのコースであり、毎日の勉強が忙しく大変でしたが、一年後に研究の成果が得られたときは、本当に嬉しく、今でもご指導いただいた先生方への感謝の気持ちで一杯です。
リカレントコースは、自身の日本語教師としてのキャリアを築くための重要な転機となりました。帰国後は国立大学を含む複数の日本語教育機関で日本語を教える機会を得ることができ、自分が日本語教師として社会に貢献できていると感じます。
―――リカレントコースへの進学を考えている方へメッセージをお願いします。
リカレントコースは、自分の専門分野を異なる視点から分析する力を養ってくれます。また、先生方も熱心にご指導くださいます。何より、通常2年かかる修士号を1年間で取得できることもリカレントコースならではの大きなメリットではないかと思います。日本語教師として自分を成長させたい方、自国での日本語教育をより良いものにするために努力している方に本コースを心よりお勧めします。ぜひ、リカレントコースで新たな自分を発見してください。
日置 泰代(ひおき やすよ)さん
第4期生(2019年10月入学/2020年9月修了)
ベルリン自由大学?専任講師
出身:日本
―――なぜ本コースを志望したのですか。
私はリカレントコース入学前、ドイツで補習校、VHS(生涯学習センター)、大学など様々な機関で日本語教育に携わっていました。教壇に立つ中で、難しい問題にぶつかることも多く、自分の教授法を見直し、専門的な知識を身につけたいと考えていました。そのような折に、リカレントコースを修了した職場の先輩から話を聞き、入学を志願しました。
―――コースではどのような研究をされたのでしょうか。
リカレントコースでは、ドイツの大学生のビリーフをテーマに研究を行いました。入学前の現場経験から、教授法と学習者のビリーフの齟齬が、学習の成果に影響を与えているのではないかと考えていたからです。
入学後は、授業を履修しながら修士論文を進めるという忙しい生活となりましたが、授業で扱われる様々なテーマについてクラスメートや先生方と議論し、考えを深めることができたのは何よりの喜びでした。また、現場での悩みや疑問を共有し、話し合える同期のリカレント生と出会えたことも大きな収穫でした。
―――修了後の現在はどのようなことをされているのでしょうか。
現在はドイツの大学で専任講師として日本語を教えています。修士の学位を取得したことで、就職の選択肢が広がっただけでなく、リカレントコースで学んだ理論、インターンシップの経験、研究の結果、全てが現在の日々の授業に活かされているのを感じます。
―――リカレントコースへの進学を考えている方へメッセージをお願いします。
リカレントコースで研究に取り組んだ経験から、現場で直面する問題を客観的に観察、分析し、多様な解決策を考えられるようになりました。在学中に身につけたこのような問題の捉え方は、今後、どのような環境で仕事をすることになっても、活かすことができると感じています。教師として成長したいと願っている方にリカレントコースへの入学をお勧めします。
内山夕輝(うちやま ゆき)さん
第5期生(2020年10月入学/2021年9月修了)
公益財団法人浜松国際交流協会?主幹
出身:日本
―――なぜ本コースを志望したのですか。
私は地域日本語教育の現場に長く携わってきましたが、核となる理論が自分に足りないことがコンプレックスでした。また、多様な学習者の背景やニーズに対し、試行錯誤しながらよりよい指導を模索する日々で、経験やノウハウを体系的に整理することができていないことにも歯がゆい思いをしていました。
そのような中、日本語教育リカレントコースの存在をウェブサイトで知り、アカデミックスキルを身につけながら日本語教育に関する専門理論を学び、これまでの実践を整理したいと思うようになりました。
―――コースでの学びはいかがでしたか。
当時はコロナ禍で、ほぼオンラインでの授業だったため、私は仕事量を調整しながらの大学院生活となりました。しかし、通常2年間で行うことを1年間で終わらせるということは想像以上に時間との戦いでした。授業を受けながら研究を行うことに加え、本業をこなすというマルチタスクに苦労しましたが、授業で交わした先生方や様々な学生との意見交換は非常に刺激的で、視野が確実に広がっていきました。また、これまでの実践と学んだ理論との間に整合性があることがわかったときには、自信にもつながりました。
―――コースではどのような研究をされたのでしょうか。
リカレントコースでは、日本滞在期間の長い定住ブラジル人の日本語学習動機について質的な観点から研究を行いました。現職で行った量的調査に質的研究を加えることで、個々の日本語学習動機をあぶりだし、どうやったら動機づけが可能なのか、また意欲の維持向上をどのように促進できるのかについてまとめました。リカレントコースでの経験は今の仕事にも大いに役立っており、学習動機研究を踏まえたコースデザインをしたり、日本語教育の重要性を社会に訴えたりと業務の幅が広がったように思います。
―――リカレントコースへの進学を考えている方へメッセージをお願いします。
リカレントコースでは、日本語教師としての専門性を高めるための知識やスキルを得ることができます。さらに、多様な視点を学ぶことで、自分自身の視野が広くなり、新たな視点も得られます。1年間集中して学業に没頭できるのはとても楽しいと思います。ご自身の実践を振り返りながら、日本語教師としてさらなる成長を目指したい方など、多くの方にお勧めします!
チャン?ティ?ガンさん
第7期生(2022年10月入学/2023年9月修了)
ハイフォン大学?日本語教師
出身:ベトナム
―――なぜ本コースを志望したのですか。
私は大学卒業後、日系企業で約8年間働いていました。その後、大学に転職し、3年間日本語教師として大学生に日本語を教えていました。日本語教育に携わる中で、自身の実践的な知識や能力の不足を認識することも多く、さらなる専門知識やスキルを身につける必要性を感じたため、日本語教育リカレントコースに入学しました。
―――コースではどのような研究をされたのでしょうか。
私の研究テーマは「日本語学習者の自律性」です。授業を実践する中で、学習者が自ら考えたり、行動したりすることに抵抗があることに気づき、学習者の自律性の育成に興味を持つようになりました。ベトナム人日本語学習者にとっての自律性とは何か、どうすれば彼らの自律性を向上させていけるのか、その問いの答えを探りたいと考えました。リカレントコースでは、その答えに少しでも近づけるように専門知識の習得や研究に専念し、努力しました。
―――コースでの学びはいかがでしたか。
1年間で修士号を取得することは決して簡単なことではありません。大変な思いもたくさんしました。しかし、無事乗り越えられたのは、リカレントコースのゼミのおかげでした。リカレントコースのゼミでは、温かい雰囲気の中、先生方をはじめ、同期の皆さんと多くのことを学びました。そのおかげで、一歩一歩、確実に研究を進めることができました。本当にいい環境に恵まれたと感じています。
―――修了後の現在はどのようなことをされているのでしょうか。
修了後は職場に復帰し、リカレントコースで得られた日本語教育の理論や論理的思考といった学びや経験を現場に還元できるように、仕事に邁進しています。リカレントコースでの学びは今の仕事に大いに活かされています。
―――リカレントコースへの進学を考えている方へメッセージをお願いします。
これまで現場で築き上げてきた経験を十分活かしながら、リカレントコースで学び、研究を行うことは、この先のキャリアアップを成功させる大きな力となるはずです。私はリカレントコースをお勧めします。