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増補新版ペルシア文芸思潮

刊行
著者等
黒柳恒男(著)、佐々木あや乃、徳原靖浩、中村菜穂(増補?解説)
出版社
東京外国語大学出版会

内容の紹介

初版刊行から45年を経てなお、日本語で読める唯一のペルシア文学概説書が、新しく充実した文献案内とより網羅的な索引等を収録して復活。

千年以上にわたる近世ペルシア語文学の流れを、ふんだんに詩作品の翻訳を交えながら、一般読者にも読みやすいよう平明かつ簡潔にまとめた1冊。イランの人々の精神文化の中心にある、フィルドウスィー、オマル?ハイヤーム、サアディー、ルーミー、ハーフィズらの古典詩に、日本語で一度に触れられるのは本書以外にない。各時代の文学潮流を知るにとどまらず、イラン通史、特に文化史を理解する道しるべともなる。

解説者のコメント

佐々木あや乃(総合国際学研究院/教授)

『ペルシア文芸思潮』は、本学ペルシア語学科初代主任教授、現ペルシア語専攻の祖、黒柳恒男先生が1977年に出版された、日本語で読むことのできる唯一のペルシア文学史の概説書です。黒柳先生が、日本のペルシア語学習者、ペルシア語学科の学生そして研究者育成のために、ペルシア語や欧米の多くの文献資料を丹念に読み込まれたうえで執筆された書でした。ササン朝が滅びアラブがイラン高原を征服する7世紀中葉の言語?文化事象から、イラン王政期の1960年代の小説を中心とした現代文学に至るまでを概観することのできるたいへん貴重な書であったのにもかかわらず、出版社の廃業により絶版となり、古書店か図書館でしか手に取ることのできない幻の書物となっていました(しかも、本学図書館にはコピー製本しかなかったのです???)。

この書が40余年の時を経て、今回東京外国語大学出版会より増補新版として甦りました! 本書では、誤表記等の訂正はなされていますが、黒柳先生の文章が読みやすい活字で再現されています。最も集中力を求められる本文の確認や校正には、本学大学院修了生でペルシア文学研究者となった徳原靖浩さんと中村菜穂さん、大学院修了生でイランの絵本研究第一人者の愛甲恵子さん、そしてペルシア語科卒業生で敏腕編集者として活躍中の相馬さやかさんの4名が、チーム一丸となって作業にあたってくれました。さらに、徳原さんと中村さんには、「さらに知りたい人のための文献案内」という、ペルシア語文化圏に関心を寄せる学生や、ペルシア文学研究を志す後進にとっての道標となる資料も付加していただきました。上記4名の方々に対しては、いくら感謝しても足りないほどです。つまり、本書は、本学ペルシア語学科創設者、ペルシア語学科?ペルシア語専攻卒業生や大学院修了生たちのペルシア文学研究への熱意と努力、叡智の結集なのです!

4年余の歳月をかけて増補新版として甦った待望の本書は、これを知らずして教養人を標榜することなかれ!と言っても過言ではないほどの教養書、ペルシア語専攻生にとっては必携の書です。詩と薔薇の国イランを感じるべく、「バラ色」の宝石箱を是非開いてみてください!


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