帝国スペイン 交通する美術
- 刊行
- 著者等
- 岡田裕成(編著)、伊藤喜彦、マリア?J?フェリシアノ、久米順子、今井澄子、松原典子、パク?ジョンホ、アルベルト?バエナ?サパテロ、 川村やよい(著)
- 出版社
- 三元社
内容の紹介
(出版社HPから)
イベリア半島の中世の記憶と、ヨーロッパ各地の版図を包摂しつつ、新大陸アメリカ、アジア太平洋にも広がった、ハプスブルク?スペインの世界帝国。かつては遭遇することのなかった人、モノ、情報の往来する回路が開かれ、美術作品も、歴史と地理の座標上を縦横に行き交うことになった。
多様な文化の相互作用を深く刻み込んだ「交通する美術」を視座に、国内外9人の研究者が示す最新知見。
著者等のコメント
久米 順子(大学院総合国際学研究院/准教授)
本書は、大阪大学の岡田裕成先生を代表とする科研費研究プロジェクト(2017~2020年度)の成果をなす論集です。
ハプスブルク?スペインの「交通する美術」という壮大なテーマを掲げたプロジェクトに大きな刺激を受けましたが、これまで中世美術を扱ってきた著者(久米)にとって、イベリア世界が帝国化していく16世紀は未知の領域。21世紀から見れば15世紀も16世紀もそう変わらないのではとお思いかもしれません。ところがどっこい、「続いてはいるけれど何かが違う」のです。そう、あたかもコロナ禍前と後の世界のように。
何を切り口に「中世との接続」というお題に立ち向かえばいいのやら途方にくれましたが、結局はこれまで培ってきた写本研究の手法を16世紀に適用してみることになりました。コロナ禍でオリジナル写本の調査はかないませんでしたが、写本挿絵を集めて比べる楽しさを思い出せたことは幸いでした。