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夏学期が来た!

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東京外国語大学では今年度から、TUFSクオーター制が始まりました。7月12日から始まった夏学期に短期海外留学科目を選択し、海外にでかけている学生は342人に上ります。また府中キャンパスでは、これまでとは一味違う、海外協定校の教員などによる授業が展開されています。ボランティア活動に参加する学生も多数います。今回のTUFS Todayでは、そんな夏学期の様子をレポートします。

夏学期特別授業その1:Dynamic Asia I: アジアの紛争経験国の多彩な教授陣によるテレビ会議授業

本授業は、福田彩 特任助教のコーディネートのもと、下記アジアの大学とテレビ会議システムを使って実施されました。画面の向こうには、紛争経験国のアジアの大学の先生方。アジアの紛争の現実と平和構築?紛争予防の基礎が講義されました。また、インターネットを通じ、質疑やディスカッションを行う時間も豊富に設けられました。国境を超えて意見交換をおこなうことで、様々な課題、とりわけ平和と紛争に関して理解するきっかけをつかむことのできる授業となりました。

参加いただいたのは、次の大学です。

  • カンボジア:パニャサストラ大学
  • インド:ムンバイ大学社会行動カレッジ、ニルマラニケタン
  • カシミール(インド側):イスラム工科大学
  • インドネシア:ガジャマダ大学
  • パキスタン:カイデアザム大学
  • カシミール(パキスタン側):アザッド?ジャンム?アンド?カシミール大学
  • スリランカ:ペラデニア大学

この授業には、海外の大学生1名、高校生8名も参加し、本学の学生とともに、英語でさまざまな視点から討論が行われました。

担当の福田彩先生から一言いただきました。

本授業は元々2006年から大学院の平和構築?紛争予防講座向けに行ってきたPCSグローバル?キャンパスプログラムという授業の枠組みを、学部の集中講座向けに初めて再構築しました。冒頭に平和構築に関する理論の勉強をし、その後、紛争経験国とビデオ会議でつないで現場からの話を聞くという形式です。この授業では現在進行形の紛争も扱いましたので、担当としては緊張することもありましたが、参加した皆さんの紛争に対する繊細な感覚、また現地の人から学ぶという意欲のために大変活発なインタラクションを通した学びが見られました。終わったあとには、自国にいながらにして現場から学べるこの仕組、もっと展開してほしいという声もあちこちから!

夏学期特別授業その2:台湾師範大学とのJoint Education Program “Introduction to Language Pedagogy as Science

台湾師範大学の陳浩然教授(英語教育学?中国語教育学?コーパス言語学)らによる講義が行われました。この授業にも本学学生に加え、一般聴講生が9名(うち海外の大学生1名、高校生3名)が参加しました。

「科学としての外国語教育学入門」をテーマに、学習者の心理学、学習者コーパス、e-learningの基礎理論について、英語による講義とパソコンを利用した実習が行われました。

学外からの受講者の声をききました。

  • 東京学芸大学附属国際中等教育学校1年 松島未来さん
    高校では普通に学べないことを、学べるのでとても興味深かった。言語教育とパソコン科学が一体であることがわかりました。今日の授業を受けて新しい言語を学びたくなりました。
  • 東京学芸大学附属国際中等教育学校1年 松島唯さん
    授業をしてくださった先生の体験をきけて興味をもちました。オリジナルのプログラムを使用した授業は、教科書ベースではなく、初めてのことで印象深かったです。また来年度も受けたいと思います。
  • 山本忍さん(78歳)
    年齢が受講者最年長の78歳です。現在も大学に編入学し勉学を続けています。言葉に興味があり、東京外大でこのような授業を開講することを知り応募しました。以前からいろんな言葉に興味があるので、命ある限り、様々な言葉の学習を続けたいと思います。

夏学期特別授業その3:リール第三大学とのJoint Education Program

リール第三大学からはRichard DAVIS先生、Noriko BERLINGUE Kono先生を迎え、前半には、Richard DAVIS先生によるBritain and Europe Since 1945: A History of a Troubled Relationship、後半には、Noriko BERLINGUE Kono先生によるReciprocity of Circulation of Knowledge between Japan and France and Question of Interculturality が講義されました。この授業にも本学学生に加え、一般聴講生の方、8名(うち海外の大学生1名、高校生2名)が受講しました。

夏学期特別授業その4:中央ヨーロッパ大学とのJoint Education Program

“Authoritarian Politics and Mass Mobilization: Ideologies, Movements and Regimes, 1918-1945”
中央ヨーロッパ大学のConstantin IORDACH教授(歴史学)により、「ヨーロッパにおける権威主義政治と大衆動員の歴史」という現代の社会問題にも通じるテーマについて、ヨーロッパ現代史を再考する観点から、英語による講義のほか、出席者によるプレゼンテーションが行われました。

夏学期特別授業その5:留学生をサポートする多文化交流実践授業

この夏学期には、「サマープログラム2015」と題し、日本語学習を中心とするサマーコースが開講されました。このコースには、世界の16カ国から47名の学生が参加しました。そして、このコースにあわせた形で、本学の学生25名が「多文化交流実践」の授業を履修しました。授業は春学期中の事前準備、コース中のサポート活動、事後報告という形で進行し、25名の履修学生が留学生47名のサポートに参加しました。

参加した海外からの留学生、そしてサポートにあたった本学学生の声をお届けします。

香港大学 台湾出身 レオンさん

とても充実したプログラムだった。自分の大学では授業だけで日本語を使ったが、このプログラムに参加して日常生活でも日本語を使う機会がたくさんあり、難しい日本語もたくさん学んだ。授業以外でも東京外大の学生さんがいろんなことを準備してくれていて、いろんなところへ連れて行ってもらった。食事もピクニックや焼肉?もんじゃ焼きなどなど。忙しく充実した3週間だった。とても楽しかった。

ロシア国立人文大学 ワリャさん

楽しかったし、いろいろな授業で日本語を勉強して、日本語が上達した。東京外大の学生さんが準備したイベントにも色々と参加して充実していた。浅草に小トリップに行ったり、スポーツをしたりもした。すべてが楽しかったです。ロシアに帰ってからも日本語の勉強を続け、また日本に来たいと思う。

香港大学 中国出身 グローリアさん

とても面白く勉強になった。授業を通じて新しい日本語をたくさん覚えることができたし、午後のアクティビティー(課外活動)を通じても様々な日本語に触れることができた。また企業訪問にも参加し、とても貴重な経験をした。国に帰ってからも勉強を続け、日本語を使う仕事に就きたい。

香港大学 クリスタルさん

東京外大の学生さんと交流する機会がたくさんあり、それがとても良かったと思う。授業で日本語を話すことには慣れているけど、同年代の人と話す機会はあまりなかったので、このプログラムを通して同年代の人たちとたくさん話すことができ大変良かったと思う。香港でも日本語を勉強していて、来年度東京へ留学することが決まっているので、また東京外大にも遊びに来たい。

ホーチミン国家大学?人文社会科大学(ベトナム) バニさん

とても面白く楽しかった。特に終了発表会が楽しかった。発表会ではお寿司について話した。自国で大学院に進んだ後、日本にまた来たいと思っている。

上海外国語大学 コビさん

このプログラムは色々と勉強になりとても良かった。私はビジネスコースを受講したが、ビジネスマナーやビジネス用語などを勉強しました。企業訪問もし、企業の方の説明を聞いた。全てを聞き取ることはできなかったけど、だいたいのことを理解することはできた。東京外大の学生さんたちと交流する機会もたくさんあった。例えば、週末に一緒に旅行をしたり、授業の進め方について相談したりした。

サポート学生をつとめた本学2年生の声

——留学生をサポートしてどうでしたか。

日本語のレベルがどのくらいの留学生が来るのかがわからなくて、最初は戸惑いました。英語で話したり優しい日本語を使ったり。初級レベルの日本語というのが、どういうことを意味するのか、本コースを通じて理解しました。

——サポートは何人で行ったんですか。

25人で行い、グループに分けてサポートしました。私は、土日の企画班でしたが、留学生はWi-Fiがないと連絡が取れないので、迷子になったらどうしよう、というのが一番大変でした。土日の企画班以外には、授業をサポートする班、空港やホテルなど授業が始まる前の送迎班、午後のアクティビティー班に分かれて活動しましたが、もちろん、ほかの班の活動にも参加しました。

——来年もやりたいですか。

とても有意義な経験でした。私はぜひ、来年もやりたいです!

夏学期特別授業その6:ヤンゴン大学とのJoint Education Program「短期留学前プログラム」

ヤンゴン大学国文学科のアウンミインウー先生をむかえ、英語とビルマ語で、授業が行われました。一般の学生を対象とした授業とならび、8月にヤンゴン大学での夏期の短期海外留学を予定している1年生にむけ、「短期海外留学前プログラム」が実施されました。ビルマ語を学ぶ1年生は、留学にさきだち、ビルマ人の先生から直接、現地のことを学ぶ機会を得ることができました。

ボランティア活動

夏学期を活用したボランティア活動も活発です。ここでは、VOLAS(課外活動スペース)の紹介を通じ、長野県安曇野でヘルパーステイのボランティアを行っている学生のみなさんからの声をお届けします。この長野県安曇野でのボランティアは、外国語学部ヒンディー語2010年卒 古田然さん、古田(伊集院)幸子さんのご紹介によるもの。先輩方からは、「日本の地方や農業などに興味を持った学生たちが、安曇野にやってくるようになりました。こんな形で母校と関わりを持てるとは、思ってもみませんでした。本当に幸せな繋がりに感謝しています。今後も続いていけば嬉しいですね。」とのメッセージをいただきました。

  • 言語文化学部ペルシャ語1年 小林由芽さん
    7月末の1週間と少し、長野県安曇野のゲストハウスにてヘルパーステイをさせて頂きました。緑は癒し効果があると聞くけれど、見渡す限りの緑、緑、緑。癒されすぎぐらいの環境でした。宿仕事や農作業のお手伝いをさせてもらいつつ、毎日やってくるゲストさんとお話する日々…。本当に新鮮なことばかり。いろんな人の人柄や生き方にふれて、色々考えさせられて、自分の中でたしかな変化が起きているように思います。ご縁に感謝です。
  • 言語文化学部日本語3年 須藤楓さん
    ヘルパーとして過ごした日々(3週間弱)はとても充実していた、の一言につきます。毎日宿のゲストさんや地元の方等様々な方と出会い、お話させてもらいました。宿や農作業のお手伝いも東京の生活では経験出来ないことばかり。今まで1週間以上東京を離れたことがなかった私にとって、新しい世界が広がった瞬間でした。日本の中でも、様々な生き方をしている人がいて、自分の人生にも様々な選択肢があるのだと実感しました。今回出会えた全ての人に感謝して、この繋がりを続けていきたいです。
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