ご卒業おめでとうございます!~大学からのお祝いのことば、28言語によるビデオメッセージ集 公開~
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この春、
東京外国語大学をご卒業?ご修了される皆さま、
ご卒業?ご修了、誠におめでとうございます。
東京外国語大学から旅立つ皆さんに、たくさんのエールをお届けします。
大学からのお祝いメッセージ
林佳世子 学長からのエール(学長式辞より)
卒業生、修了生の皆さん、本日はおめでとうございます。
コロナ禍のなかでの、卒業式となりました。多くの皆さんは、離れた教室におられることから、全員の晴れ晴れした笑顔を、直接みることができないのが残念ですが、それでも、今日、こうしてキャンパスに足を運んでもらうことができ、感無量です。
いつもと違う式になりましたので、式辞は、なるべく短くと思っています。お伝えしたいメッセージは、ひとつだけです。それは、今日、大学から巣立っていく皆さんを、大学は、ずっと、応援している、ということです。
学部を卒業される皆さんにとって、大学での最後の1年は、予定していたものとは、まったく変わったものになってしまいました。大学生としての貴重な最後の1年がこのような形で過ぎたことに対し、どれだけ無念な思いをされたかと思うと、心が痛みます。だからこそ、そうした中にあっても、就職活動や進学への準備を続け、卒業論文に取組み、立派にそれを完成させ、今日を迎えられた皆さんを、私たちは、心から誇りに思います。
今日の卒業式にあたり、本学に入学された日を思い出してみてください。それから、4年、あるいは5年の間に、本学で多くのことを経験されました。語学や専門分野の勉強、賑やかだった外語祭、サークル活動、長い留学、そして卒論研究と、その時その時は夢中で分からなくても、今は、その1つ1つが、皆さんを作ってきたことを実感されていることと思います。世界を、一つの地域を足場に真に理解し、世界の人々の立場にたって考えようとしてきた本学での日々は、皆さんがこれから先に進んでいく中で、きっと背中を押してくれるものと信じています。
4月からの新生活においても、依然としてコロナの影響がつづき、なかなか元通りの暮らしには戻れないかもしれません。このコロナ禍は、社会の変化を促している面もありますが、日本社会の問題点や矛盾を表面化させてもいます。誰にとっても生きやすい社会をつくるため、本学で学んだ、世界の人々と共感する力をもって、身近な問題の解決に力を尽くしてほしいと思います。
大学院を修了される皆さんは、人文?社会科学の学問の世界に、大切な足跡を残しました。先ほど読み上げられた博士論文のタイトルによくわかるように、本学で追及されている学問的な問いは、人と社会の問題です。先が見えない今の時代のなかで、自分の問いと社会の問いを結び付け、さらなる研さんを積み、自分らしい研究を続けていっていただきたいとねがっています。
大学は、前に進んでいく皆さんを、少し遠くから、見守っています。ここに残る私たちは、皆さんが、ふと振り返ったときに、誇りに思える大学であり続けるよう、努力することをお約束します。
どうか、これからの日々、心も、体も、健康に過ごしてください。大学は、前に進んでいく皆さんを、ずっと応援しています。
2021年3月24日
東京外国語大学 学長 林佳世子
山口裕之 言語文化学部長からのエール
東京外国語大学言語文化学部をみなさんが卒業されるこの2020年度という1年間、この1年間をどのように過ごしてきたか、みなさんは決して忘れることはないでしょう。新型コロナウィルスの拡大にともなって、大学では、全面的にオンラインで授業を開始するという未曾有の事態に私たちは直面することになりました。そしてまた、世界のさまざまな国や地域と直接に関わってゆく東京外国語大学にとっては、外に出てゆくことも、外から人を迎えることも極度に困難になったこの状況は、とても大きな痛手です。留学していた人たちの大半が、この年度の変わり目に帰国せざるを得なくなりました。身近な生活の次元でも、自分の家や部屋に籠もって生活する時間が圧倒的に増え、友達と直接に会って話をすることや、いろいろな活動の機会もおおきく制限されることになりました。アルバイト先を失って、生活が苦しくなった人も少なくないでしょう。
そのようななかで、みなさんは大学での学びのかなりの部分を、オンラインでの授業というあらたなかたちで体験してゆき、そしてこ4月からのあらたな生活に向けて、就職や進学のための準備を着実に進めてゆきました。このコロナ禍がいつ収束するのか、残念ながらまだ見通しがつかない状況ではありますが、いずれにせよコロナ収束後の世界は、一般的にそのように認識されているように、「もとに戻る」のではなく、まちがいなくあらたなステップを踏み出すことになります。コロナ対応の世界を経験してきたみなさんは、その意味でも、本学の教育が目指している「現代社会を生きる力」を少し特別なかたちで獲得してきたことになるのかもしれません。
みなさんが卒業されるこの日、学位授与の証明書(卒業証書?学位記)が手渡されます。これはみなさんが東京外国語大学言語文化学部で学んで課程を修了したことによって、「学士(言語?地域文化)」の学位が与えられたことを証明する大切な書類ですが、東京外国語大学では、「学位」を与えるということは同時に、①「高度な言語運用能力」、②「日本や世界諸地域についての知識?教養」、③「現代社会を生きる力」、④「専門的な知識」、⑤「主体的に考え、行動し、発信する力」という5つの力をみなさんが身につけて社会に出てゆくということを証しするものでもあります。①高度な言語運用能力、②専攻言語の地域や日本についての深い知識、④おもにゼミで身につけてゆく専門領域の知識や思考については、カリキュラムのうちに明示的に組み込まれているので修得したことがわかりやすく見てとれます。しかしそれとともに、みなさんはこの東京外国語大学での学びの過程全体を通じて、言語?文化の境界をあたりまえのように越えた感覚で、③異なる文化?価値観の人たちと共に生きてゆくという意味での「現代社会を生きる力」、⑤多様な言語や文化的背景を当然の前提とした「思考力?行動力?発信力」を、自然なかたちで身につけているはずです。そしてそのような感覚と能力こそが、東京外国語大学を卒業してゆくみなさんにとって、このさき社会のなかでどのような場で仕事をしてゆくとしても、おそらくいちばん重要な財産となることでしょう。
みなさんがこれからそれぞれの場で力を発揮して活躍してゆくことを願ってやみません。
本日はご卒業おめでとうございます。
2021年3月24日
言語文化学部長 山口裕之
真島一郎 国際社会学部長からのエール
国際社会学部卒業生のみなさん、大学生活最後の晴れの日を本日こうして恙なく迎えられたことを、心よりお祝い申しあげます。ご卒業おめでとうございます!
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みなさんは本日、大学の卒業証書にあたる「学位記 Diploma」を手にされることになります。本学では、4年間の学士課程を修了した時点で卒業生に具わっていてほしい5つの能力を「ディプロマ?ポリシー」として掲げています。それは大まかにいえば、3つの知識と2つの力に分かれます。
3つの知識とは、第1に専攻言語に関する高度な知識、第2に専攻地域に関する十分な教養、第3に特定のディシプリンをふまえた専門的な知識のことです。2つの力とは、「現代社会を生きる力」そして「みずから主体的に考え行動する力」のことです。
本日ご卒業されるみなさんには、これら5つの能力すべてが高度に具わっていることが、本日お渡しするディプロマによって正式に証明されたことになるわけです。
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なかでも「現代社会を生きる力」という言葉には、ことのほか意味の奥行きがあるものと私は考えています。現代社会を生きる力というと、一見それは、グローバル化した現代の荒波を生き抜くための「強い力」のように、勇ましく聞こえるかもしれません。しかし本学にとってこの言葉は、自分だけが社会で勝ち抜いていけばそれでいいというような、サバイバル能力を意味しているわけではないのです。ここでいう現代社会とは、言語?文化面にかぎらず、社会的に多様な背景をもった人びとと共に生きていくことが求められる場所の別名といえるからです。たがいの立場や背景のちがいを尊重しながらひとが共に生きていくことは、国際社会学部でみなさんが学んできたとおり、口で言うほど易しくはありません。むしろそれがけっして容易くはないからこそ、世界各地で生きる生身の人間の声を耳でしっかり聴き届け、その声が何を訴えているかを的確に、また繊細に受けとめるために、今日までみなさんは言語を学び、地域を学び、そして専門分野の知を学ばれてきたことになるはずです。共生の深部、共に生きていくことの深い意味について、みなさんがこれまで着実に学びを積み重ねてこられたことに、私たち国際社会学部の教員は、心からの敬意と、そして感謝の気持をお伝えいたします。
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本日はご卒業という節目の時ですから、みなさんとはここで一旦お別れをしなければなりません。とはいえ、この府中キャンパスは、みなさんがこれから本学の OG?OB としていつでも足を運び、ここで過ごした大学生活をすぐに思い起こすことのできる、本当の意味でのホームとなりました。私たち教員は、みなさんにこのキャンパスで再びお目にかかる日が来ることを楽しみにしております。みなさんがこれから本学の卒業生として、社会の様々な分野でめざましくご活躍をされることを、心からお祈り申しあげるしだいです。
2021年3月24日
国際社会学部長 真島一郎
青山亨 大学院総合国際学研究科長からのエール
東京外国語大学の大学院の博士前期課程及び博士後期課程を修了される皆さん、本日は、誠におめでとうございます。本来ならば、卒業式の場で口頭でお伝えすべき挨拶ですが、今年は、コロナ禍のため、文章による祝辞という異例の形を取らせていただきました。
皆さんは、この東京外国語大学において、指導担当の教員を初めとして、友人、先輩など多くの人に支えられ、また、お互いに励まし合いながらこの日を迎えられました。これらの方々に対して、深い感謝の気持ちを表したいと思います。また、長い期間、ときには困難なときにも、皆さんを温かく支えてくださった、ご両親、ご親族、ご家族の皆様にも、心からのお祝いを申し上げたいと思います。
大学院の課程において、数多くの文献を読み、時には不慣れな場所でフィールド調査を行い、集められたデータを分析し、論理を積み重ねて一篇の学位論文を書き上げるということは、並大抵のことではありません。しかし、その経験から得られた学位の重みには計り知れない価値があります。皆さんはその重みをしっかりと受け止め、自らが東京外国語大学の修了生であることに自信と誇りをもって次のステップへと歩みを進めてください。
振り返ってみると、みなさんが修了されたこの2020年度は、私たちの記憶のなかでもまれに見る波乱に満ちた年でした。それは、誇張ぬきで激動の一年だったと言ってよいでしょう。言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染が拡大した年でした。開催されるはずの東京オリンピックが開催されなかった年でした。日本では首相が交代し、アメリカでは新しい大統領が選ばれた年でした。間違いなく、10年後、皆さんが2030年を迎えるときには、コロナ渦から10年が経った年として記憶を新たにすることになるはずです。
しかし、このような「できごと」の奥底に、もっとゆっくりとした、しかし着実に社会に変化をもたらすいくつもの動きがあることを見過ごしてはなりません。一つには、MeToo運動やBLM運動に見られるように、社会にある格差や差別に私たちがより自覚的になることを求める動きがあります。また、国家のあり方には、強権的な国家を選ぶのか、自由で平等な国家を選ぶのか、私たちに選択を迫る状況があるように見えます。環境の面では、温暖化への対応として脱炭素社会へのシフトが進んでいます。そして、これらの動きすべてにかかわる形で、このような情報を誰が誰に伝えるのかをめぐってソーシャルメディアの役割が問われています。
底流の動きには明確な日付はありません。しかし、10年、20年、30年が経ったときに、はじめて変化が起きたことに気づかされることになります。東京外国語大学で学んだみなさんには、ぜひ、このような深い奥底に進む変化に目をこらし、常々から思いを巡らし、主体的に向き合っていただくことを切望します。
これをもって、私からの祝辞といたします。
2021年3月24日
大学院総合国際学研究科長 青山亨
28言語ビデオメッセージ
28言語?2地域の先生方から皆さんへのビデオメッセージです!
大学歌オンライン合唱動画
企画?制作:東京外国語大学混声合唱団コール?ソレイユ
協力:在学生、卒業生、教職員
2020年度卒業式?学位記授与式の様子
卒業式?学位記授与式のダイジェスト動画
(注:いずれの写真も写真撮影の際は一時的にマスクを外しましたが、撮影後にすぐ着用しています)
卒業生の方へ
東京外国語大学は皆さまにとってこれからも身近な存在であり続けたい、そして皆さまとのつながりを大切にしていきたいと思っています。卒業生向けの情報を大学ウェブサイトの「卒業生の方へ」へ掲載しておりますので、ぜひ今後も大学をご活用いただけたらと思います。
東京外国語大学「卒業生の方へ」
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