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大学の外へ! コロナ禍の語劇を振り返る

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「語劇=外語祭」という印象がありますが、実は、大学の外でも上演を行う専攻語があります。昨年12月にはアラビア語専攻が駐日サウジアラビア大使館で、ポルトガル語専攻が群馬県大泉町で、そして今年の1月にはヒンディー語専攻が駐日インド大使館で、再び舞台に立ちました。今回は、そんな3専攻語の代表学生に、コロナ禍により学生生活が制限された中での語劇の経験についてお話を伺いました。

インタビュー?取材担当:言語文化学部ヒンディー語4年?村上梨緒(むらかみりお)さん(広報マネジメント?オフィス学生取材班)

―はじめに、自身が所属している専攻語について教えてください。

内田さん:アラビア語専攻は1学年20人ほどが在籍しています。授業では、1年生で文法を終わらせ、2年生である今は、教科書や雑誌を読んでいます。進度が速いため、日々の予習?復習は欠かせません。

佐藤さん:ヒンディー専攻語も1学年20人ほどです。ヒンディー語を中心に、南アジアで話されている他の言語や、南アジア社会について学んでいる学生が多いです。1学年の人数が多すぎないので、先生?先輩?後輩の距離が比較的近い専攻語だと思います。

新里さん:ポルトガル語専攻も20人ほどです。地域としては、ヨーロッパのイベリア半島やラテンアメリカのことを学んでいます。学生は穏やかな雰囲気の人が多いです。

―今回参加の皆さんは、いずれも1学年20名程度なんですね。外語祭の後にも語劇の上演をしたとのことですが、その経緯などについて教えてください。

内田さん:12月18日の世界アラビア語の日の際にサウジアラビア大使館で語劇を再上演しました。数年前、大使館へ語劇の宣伝をしたことがあったため、ご存知だったそうです。

佐藤さん:外語祭では語劇を、1月10日の世界ヒンディー語の日の際にはインド大使館で詩の朗読を行いました。

新里さん:12月中旬に、群馬県の大泉町で再上演しました。大泉町はブラジル人の一世?二世の方が多く暮らしているため、毎年上演を行っております。

ポルトガル語、群馬県大泉町へ

―ありがとうございます。語劇と言えば、専攻地域の有名な物語などを上演することが多いですが、皆さんの語劇はどのような内容でしたか。

内田さん:『アルフドゥード』(原題:??????)という映画を語劇用にアレンジして上演しました。国を移動する男女の物語で、国境について考えさせられる作品になっています。アラビア語専攻の先生である青山弘之教授のすすめで本作を選びました。

佐藤さん:語劇は、昨年までご指導してくださったネイティブの先生のオリジナル作品『大地の呼び声』(原題:???? ?? ?????)です。人間と自然の関係について描いた作品で、環境保護の大切さを訴えています。大使館では『Andha Yug』(原題:???? ???)という詩の一部を朗読しました。この詩では、争いのない世界の重要性を説いています。

新里さん:ポルトガル語専攻は『結婚するには家を買え』(原題:Quem casa quer casa)という作品を上演しました。ブラジルの劇作家による作品で、ネイティブの先生のすすめで選びました。嫁?姑問題を中心としたコメディ作品です。

ヒンディー語、インド大使館で招待公演

―どれも興味深そうな内容ですね。今回の外語祭はオンラインと対面が並行した学生生活の中での開催でしたが、どんな不安や苦労がありましたか。

内田さん:「自分に代表が務まるだろうか」という不安が1番大きかったです。また、私たちの代は例年と違い1年次の料理店がなかったため、人間関係が十分に構築されていないことも不安要素の1つでした。学生の自主的な活動であるためモチベーションの差にも不安を抱いていましたが、アラビア語専攻の皆さんは頼んだ仕事を快く応じてくれる人たちだったため、その点は非常にありがたかったです。

佐藤さん:私もコミュニケーションの難しさを実感しました。また、春学期のヒンディー語の授業の多くはオンライン授業だったため、春学期?夏学期は対面での練習を出来なかったことが障壁でした。

新里さん:私たちも春学期はオンライン授業であったため、夏学期に入るまでは十分に練習できなかったことが大変でした。夏学期に入り皆のやる気が出て、なんとか完成度を高めることが出来ました。

アラビア語、サウジアラビア大使館で招待公演

―語劇という行事は例年困難を伴いますが、コロナのせいで更に大変だったでしょうね。外語祭以外で上演に関する苦労などは何かありましたか。

内田さん:私たちは、大学と大使館の舞台の違いに苦労しました。そのため、大使館の設備を考え、急遽演出を変更するなどの工夫が求められました。また、外語祭で達成感を得てしまったため、練習のモチベーションを再び高めることも大変でした。

佐藤さん:人数の関係で、外語祭とは別の内容を上演せざるを得なかったことが大変でした。また、1月中旬であったため年末年始?学期末と被り、試験勉強などとの両立にも苦労しました。

新里さん:アラビア語専攻と同じく、私たちも大学の設備との違いに苦労しました。群馬県であったため下見に行くことが出来ず、柔軟に対応する必要がありました。そのため、観客の方の楽しんでいる姿を見た時は安堵しました。

ポルトガル語

―そのような語劇の経験を通じて、何か得たものはありましたか。

内田さん:語劇を通じて、専攻語としての団結力を高めることができました。日程調整や大学との事務連絡など、代表としての仕事は大変でしたが、専攻語の人から感謝の言葉をかけられた際は、達成感を得ることが出来ました。

佐藤さん:語劇は学生が主体となって活動するため大変でしたが、その分、遣り甲斐もありました。語劇を通じて、授業だけではわからない専攻語の皆の一面を知れたことも良かったです。また、先生方や先輩方にお褒めの言葉を頂いた際は、勉強の努力が報われた気がしました。

新里さん:ネイティブの先生や留学生と一緒になって活動して専攻語を聞き?話す機会が増えたため、発音や会話の能力が向上しました。1年生の外語祭で特に何もしなかった私たちの代は、語劇が学年で活動する最初で最後の機会だと思うので、今回を契機に交流を深めることが出来て良かったです。

ヒンディー語、外語祭にてヒンディー語劇上演後

―2022年度で外語祭は第100回を迎えますが、そんな記念すべき年に語劇を上演する後輩に何かメッセージがあればお願いします。

内田さん:語劇は学生が主体的に動く場面が中心であるため大変ですが、その分、遣り甲斐もある行事です。新2年の皆さんは比較的対面授業が戻ってきた学年なので、私たちの代以上により良い語劇が完成するのではないかと願っています。

佐藤さん:2年生に入ると専攻語も難しくなるため、勉強と語劇練習の両立は大変だと思いますが、先生や先輩のご協力を仰ぎつつ頑張ってください。語劇でそれぞれの仕事や役に責任感をもつことで、それぞれが担っている役割の重要性に気づけるはずです。

新里さん:語劇を通じて、「対話」の重要性を学びました。日々の練習や上演を通じて、語劇が伝統として何年も続いている意義が少しわかったので、ぜひ後輩の皆さんも語劇に挑戦してほしいです。

アラビア語、外語祭でアラビア語劇を上演後

―ありがとうございます。合格者も発表され、4月からは皆さんの学生生活も後半戦を迎えますね。新入生に何かメッセージがあれば、お願いします。

内田さん:ご入学おめでとうございます! アラビア語専攻は勉強が大変ですが、その分、頑張っただけ上達することが出来ます。先輩?後輩の距離が比較的近いことも魅力です。入学したら、ぜひみんなで研究室で勉強しましょう!

佐藤さん:ご入学おめでとうございます。慣れないことも多くて大変だと思いますが、楽しくてあっという間に時間が過ぎていくと思います。同じ東京外大生として頑張りましょう!

新里さん:ご入学おめでとうございます! 少しずつですが、留学や旅行の制限が緩和されつつあるので、ぜひ機会があれば挑戦してみてください。

ヒンディー語劇

―今回は、お忙しい中お時間を取ってくださりありがとうございました。コロナで制限されている部分もありますが、皆さんが充実した学生生活を過ごすことが出来れば幸いです。

インタビュー後記

今回は、座談会という形でアラビア語科?ヒンディー語科。ポルトガル語科の方から話を伺いました。2年生の際は自身も駐日インド大使館で語劇上演をしたため、懐かしさを感じつつ、下の学年は1年時がオンラインであったためより大変であっただろうと話を聞いて思いました。苦労も多かったとは思いますが、その分、達成感を得た様子が伝わってきました。冬学期の時期であるにもかかわらず取材に答えて下さった各語科の代表者さん、そして座談会という形式をご提案して下さった広報の高坂さん、ありがとうございました。今回の記事が、新3年生以上にとっては語劇を懐かしみ、1?2年生にとっては語劇を楽しみにする契機になれば良いと思っております。

村上梨緒(言語文化学部ヒンディー語4年)

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